国が用意した「住まいのエンディングノート」とは?
国土交通省は令和6年(2024年)6月、日本司法書士会連合会・全国空き家対策推進協議会と共同で「住まいのエンディングノート」を公表しました。
空き家対策の一環としてつくられた公式のノートで、対象はあくまで「住まい(土地・建物)」とその相続です。お墓や供養についての記載はなく、あくまで実家という不動産をどうするかに特化した内容になっています。
単なる終活の記録帳ではなく、家族が元気なうちに実家の将来を話し合うための「対話のきっかけ」として設計されている点が特徴です。
「国が家族の対話のために配っている公式のノートなんだって」と切り出せば、親のプライドを傷つけることなく、「終活をさせようとしている」という邪推も防げるかもしれませんね。
「住まいのエンディングノート」(国土交通省作成)
筆者からのコメント【心のケア編】
ここでは、まず「感情面」でのケアについてお話しします。
筆者はかつて、認知症の親の通い介護をしていた時期がありました。
ある日、新聞の集金に来てくれた配達員の方が、対応した親の不穏な様子に異変を感じ取ってくれたそうです。
その方は警察ではなく、地域包括支援センターに連絡してくれました。そこからケアマネジャーを経由して、私のところへ電話がかかってきたのです。
警察に通報する前に、まず地域包括支援センターに連絡しようと判断してくれたこと、今でもありがたく思っています。
地域包括支援センターは、家族が介護の相談をするためだけの窓口ではなく、地域で見守ってくれる人たちをつなぐ「ハブ」のような役割も担っているのだと、この経験から実感しました。
介護保険法に基づき全国に5000カ所以上設置されている公的な窓口で、介護保険の申請だけでなく、生活の困りごとの相談にも無料で応じてくれます。
住まい(不動産)の将来という大きな決断をするためには、まず親自身が抱える日々の暮らしや健康への不安を取り除くことが不可欠です。
「いきなりノートに書き込んで」ではハードルが高くても、「地域にどんな相談先があるか、一緒に調べてみようか」であれば親御さんも受け入れやすいかもしれません。
制度やノートの話をする前に、まず頼れる相談先を知っておくだけで、親子ともに気持ちがぐっと軽くなるはずです。
校閲者出身の編集記者。人文社会系の一般書籍の校閲・社会科教材の制作を15年間経験。実体験から相続や介護について当事者目線で紐解くことを信条としている。証券外務員二種(二種外務員資格)・相続診断士・ガーデンコーディネーター資格を保有、早稲田大学卒。
