「安心」だけではない、知っておきたいデメリット
ここまで読むと「5年ルールがあれば安心」と感じる方もいるかもしれませんが、実はそう単純ではありません。
楽天銀行も注意点として挙げているとおり、適用金利が大幅に上昇した場合、毎月の返済額のほとんど、あるいはすべてが利息の支払いに充てられてしまい、借入残高(元金)がなかなか減らない状態になることがあります。
さらに、利息の支払いが返済額を上回ってしまうと、「未払利息」という、支払いきれなかった利息が積み上がっていく現象が起こる可能性もあります。
つまり、5年ルールは「家計へのショックを和らげる仕組み」ではあっても、「支払うべき利息そのものが減る仕組み」ではありません。
金利が上昇し続けた場合、見直しのタイミングで返済額が大きく引き上げられたり、未払利息の精算が必要になったりするケースもあるため、「返済額が変わらない=負担が増えていない」というわけではない点には注意が必要です。
金融機関によってルールの有無や条件が異なる
「5年ルールがない銀行もあるらしい」という声も聞かれますが、実際には、5年ルール・125%ルールの採用有無や、上限の設定方法は金融機関によって異なります。
三菱UFJ銀行・楽天銀行のように、変動金利・元利均等返済であれば標準的にこれらのルールを適用している金融機関がある一方で、金融機関や商品によって細かな条件が異なる場合もあるようです。
そのため、「うちの銀行にはこのルールがあるのか、ないのか」「上限は本当に125%なのか」といった点は、思い込みで判断せず、契約している(あるいは検討している)金融機関の商品説明書や契約規定で確認することをおすすめします。
金融機関の窓口やコールセンターに直接問い合わせるのも確実な方法です。
金利上昇に備えてできること
5年ルールの仕組みを理解したうえで、金利上昇に備えるとしたら、どのような選択肢があるでしょうか。
住宅ローンだけを切り離して考えるのではなく、貯蓄や資産運用とのバランスの中でどれを優先するかという視点で、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを比較しながら考えてみましょう。
金利上昇時における選択肢のメリット・デメリット比較表
どの選択肢が向いているかは、借入残高や返済期間、貯蓄の状況、資産運用とのバランスなど、家計全体の中で総合的に判断する必要があります。
判断に迷う場合は、借入先の金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しながら検討するとよいのではないでしょうか。
まとめ
変動金利の5年ルール・125%ルールは、金利が上昇した際の返済額の急増を抑える仕組みですが、利息そのものが減るわけではなく、未払利息が発生する可能性もある点は見落とされがちです。
また、ルールの詳細は金融機関によって異なるため、ご自身の契約内容を確認しておくことが欠かせません。
5年ルールの「安心」の中身を正しく理解したうえで、繰り上げ返済や借り換え、家計の見直しといった選択肢も含め、ご自身の家計に合った備え方を考えるきっかけになれば幸いです。
窓口経験者が伝えたい、変動金利の「5年ルール」のポイント
ご利用にあたっての注意
- 本記事は2026年7月時点で確認できた情報に基づく一般的な解説であり、特定の金融機関の商品・借り換えを推奨・勧誘するものではありません。
- 5年ルール・125%ルールの採用有無や具体的な条件は金融機関により異なるため、最新の情報はご契約中または検討中の金融機関の公式情報でご確認ください。
- 個別の返済計画や借り換えの判断については、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。
参考情報
三菱UFJ銀行出身。窓口・リテール営業で住宅ローン相談を数多く担当し、全国表彰を多数受賞。現在はLIMO&ホームで住宅ローンをはじめとするお金の記事を企画・執筆している。

銀行の窓口では住宅ローンだけでなく、投資信託や保険のご相談もあわせて伺う機会が多くありました。そのなかで感じたのは、金利が動く局面になると、お客様が抱く不安の中身も少しずつ変わっていくということです。
なかでも、住宅ローンをご検討されるお客様からは、金利上昇に対する不安や返済計画に関するご相談をいただくことが多くありました。
今回の記事でお伝えしたかったのは、まさにこの点です。5年ルールが固定するのは毎月の返済額であって、金利そのものではありません。金利が上がれば返済額に占める利息の割合は増えていきますし、上昇幅次第では未払利息として支払いきれない分が残ることもあります。
記事内の例のように、返済額10万円のケースで125%ルールの上限が12万5000円になるという仕組みも、返済額の急増そのものを抑えてくれる一方で、支払うべき利息の総額を減らしてくれるわけではありません。この「安心できる部分」と「安心とは言い切れない部分」を分けて理解しておくことが、金利上昇局面ではとても大切だと感じています。
加えて、こうしたルールの有無や条件は金融機関ごとに異なりますし、そもそも元利均等返済でなければ対象外になるケースもあります。
ご自身の契約が変動金利・元利均等返済にあたるのか、5年ルール・125%ルールが適用される内容になっているのかは、契約書類や窓口での確認を通じて把握してみてはいかがでしょうか。窓口やコールセンターに問い合わせれば、契約内容に沿った説明をきちんと受けられるでしょう。
金利上昇への備え方は、繰り上げ返済で元金を早めに減らす、借り換えで条件を見直す、貯蓄や資産運用とのバランスのなかで様子を見るなど、ご家庭の状況によって最適な形が異なります。
どれか一つが正解というわけではなく、借入残高や返済期間、家計全体の状況を踏まえて比較検討する視点が欠かせません。制度の細かな条件は今後変わる可能性もあるため、最新の情報は金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門窓口であわせてご確認いただけたらと思います。