墓じまいで「永代供養」を選ぶなら。後悔なく決める3つの視点と改葬先の見つけ方
taka1022/shutterstock.com
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墓じまいで「永代供養」を選ぶなら。後悔なく決める3つの視点と改葬先の見つけ方

離檀料や相続税など気になる5つの疑問をQ&Aで紐解きます。「費用優先で合祀墓を選んだあとの後悔」といった“墓じまいあるある”を防ぎ、お墓の引っ越しをスムーズに進めるコツをお届けします。

執筆者熊谷 良子LIMO&ホーム編集部記者/ 相続診断士 / ガーデンコーディネーター/証券外務員二種資格
09:06
墓じまいで「永代供養」を選ぶなら。後悔なく決める3つの視点と改葬先の見つけ方
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この記事はここがポイント

  • 墓じまい(改葬)の改葬先には、永代供養の枠組みの中に合祀墓・個別安置・樹木葬・納骨堂など複数の選択肢がある
  • 「永代供養」と「永代使用」はまったく別の意味の言葉であり、混同すると後悔のもとになる
  • 離檀料や相続税の扱いなど、契約前・申告前に専門家や窓口への確認が欠かせない論点もある

お盆に実家で「お墓をどうするか」話し合ったご家庭も多いでしょう。墓じまいを決めても、次に悩むのが遺骨の行き先です。

近年は樹木葬や納骨堂など「永代供養」を選ぶ人が増えていますが、仕組みや費用を知らないと後悔につながることも。

前回に続き、墓じまいと改葬先選びのポイントを整理します。

お盆に増える「実家の墓、どうする」という会話

出所:厚生労働省「衛生行政報告例」をもとにLIMO&ホーム編集部作成
グラフで見る「改葬件数」の推移(1997年度~2024年度)

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、改葬(お墓の引っ越し)の件数は2014年度の約8万4000件から2024年度には約17万6000件へと、10年でおよそ2倍に増えています。

実際、株式会社ゴールドオンラインが2026年8月1日に開催した「THE GOLD ONLINE フェス2026 SUMMER」の会場投票とWEB投票を合算して選出した「2026年上半期 お金と投資の流行語大賞」では、相続部門の部門賞に「墓じまい」が選出されたほか、「空き家の国庫帰属」や「孫を養子にする」「認知症による資産の凍結」といった言葉もノミネート。

空き家も、養子縁組も、認知症による資産管理も、そして「墓じまい」も、根っこにあるのは「誰がどう引き継ぐのか」という同じ悩みです。

お墓の問題も、決して例外ではありません。

こうした言葉が話題になるのは、家や資産の「引き継ぎ方」そのものが、以前より多様な選択を迫られる時代になっているからだと感じます。

空き家も、認知症による資産管理も、お墓の問題も、すべて「先送りにできない問題」として、お盆という帰省のタイミングに重なって意識されやすいのかもしれません。

社会全体で「引き継ぐこと」そのものが難しくなっている今、私自身もひとりの「墓守娘」として、実家のお墓の問題を人ごとではないと感じています。

お盆に親族と改葬の話をするたびに感じるのは、家や墓、資産の問題は結局すべて同じ土台の上にあるということです。

相続診断士の視点からみても、「お墓をどうするか」という小さな話から、資産全体の整理へと話が広がる可能性は少なくないと考えます。

「お墓」というひとつの悩みが、家族ひいては親族全体の課題を見直すきっかけになることもあるでしょう。

墓じまい(改葬)の手続きの基本的な流れ

「墓地、埋葬等に関する法律」における改葬とは、「埋葬した死体(焼骨を含む)を他の墳墓に移すこと」と定義されています。基本的な流れは次の3ステップです。

一般的な「改葬手続き」の流れ

一般的な「改葬手続き」の流れ
各種資料をもとにLIMO&ホーム編集部作成
  1. 今のお墓の管理者から「埋蔵証明書」を取得
  2. 新しい改葬先(受入先)から「受入証明書」を取得
  3. 遺骨が納められている市区町村に「改葬許可」を申請し、許可証の交付を受けてから遺骨を取り出す

必要書類や様式は自治体ごとに異なるため、実際の手続きはお住まいの市区町村窓口に早めに相談することが推奨されています。

今回は、この改葬先として近年注目される「永代供養」という考え方を中心に見ていきます。

改葬先の選択肢として注目される「永代供養」とは?

改葬先を考えるとき、最近よく耳にするのが「永代供養」という言葉です。

ただし、この言葉は法律上定義された用語ではなく、慣行上の呼び方とされています。一般的には、寺院や霊園が遺骨を預かり、永代にわたって供養することを指します。

「永代供養」と「永代使用」の違いに注意

ここで注意したいのが、似た言葉である「永代使用」とはまったく意味が異なるという点です。

永代使用は、永代使用料を払ってお墓(区画)を使用する権利を取得し、その土地を永代にわたって使用するというものです。

「永代」という言葉が共通しているために混同されやすいのですが、両者は別の仕組みだと理解しておく必要があります。

また、永代供養の「永代」も、実際には「未来永劫」を意味するわけではなく、三十三回忌など一定の期限が設けられているのが一般的で、期限は寺院・霊園によって異なります。

永代供養の4つのスタイル(合祀墓・個別安置・樹木葬・納骨堂)

永代供養の枠組みの中には、埋葬の仕方によっていくつかの種類があります。

  • 合祀墓:ほかの方の遺骨と一緒に埋葬する形式
  • 個別安置:一定期間は個別に安置し、期限を迎えると合祀される形式
  • 樹木葬:墓石の代わりに樹木や草花を墓標として遺骨を埋蔵する方法
  • 納骨堂:屋内施設に遺骨を安置する方法

どの形式も、承継者を必要としない点が共通の利点です。

子どもに管理の負担をかけたくない、あるいは子どもがいない、独身であるといった事情から、こうした永代供養の形を選ぶ人が増えている背景には、こうした事情があります。

一方で、個別安置や樹木葬・納骨堂の個別区画であっても、それがそのまま永続すると思い込むのは早計です。

多くの施設では、一定の年数を目安に、最終的には合祀スペースへ遺骨を移す契約になっているケースが一般的だといわれています。

「個別だから将来もずっと個別のまま」と考えていると、契約内容とのギャップに後から気づくことになりかねません。

供養の詳しい特徴についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください→「永代供養とは|費用の目安と墓じまい・手続きの基本を分かりやすく解説

昭和のひところとは異なり、「継ぐ人がいない」という悩みは、決して特殊な事情ではなくなってきているのでしょう。

一人っ子同士の結婚や生涯未婚率の上昇を背景に、お墓についても「自分の代で終わらせる」という選択が、以前より自然に受け止められるようになってきたと感じます。

永代供養という言葉がこれだけ広まったのも、そうした時代の変化を映しているのかもしれませんね。

費用だけで「合祀墓」を選ぶリスク

永代供養は一般墓に比べて費用を抑えられるといわれていますが、合祀墓・個別安置・樹木葬・納骨堂のどれを選ぶかによって金額の幅は大きく異なります。

合祀墓はもっとも費用を抑えやすい一方、個別安置や個別区画は管理の手厚さに応じて費用が上がっていく傾向にあります。

実際の金額は施設や地域によって差が大きいため、具体的な費用相場は契約前に複数の候補を比較し、内訳まで確認しておくことが欠かせません。

よくある後悔として挙げられるのが、「費用の安さだけで合祀墓を選んだあと、やはり個別にお参りしたい気持ちが強くなった」というケースです。

合祀墓は一度埋葬すると遺骨を個別に取り出すことが基本的にできないため、後から気持ちが変わっても元には戻せません。

金額だけで決めず「何年後、何十年後に自分や家族がどう感じそうか」までイメージできると、後悔を防ぐ手がかりになるでしょう。

墓じまいあるある「離檀料トラブル」の対処法

加えて、改葬にあたって従来のお墓を檀家として抜ける際に、想定より高額な「離檀料」を求められたという相談が、独立行政法人国民生活センターに寄せられています。

同センターの相談Q&Aでは、離檀料は寺院へのお礼であるお布施の意味を持つものであり、料金に明確な基準はなく、基本的には当事者間の話し合いによるものとされています。

納得できない金額を求められた場合は、一人で抱え込まず、消費者ホットライン「188(いやや!)」を通じて最寄りの消費生活センターに相談することも選択肢のひとつです。

お墓の引っ越しは、単なる物理的な移動ではなく、お寺とのお付き合いの整理や親族間の意見調整など、心身ともにエネルギーを使う作業です。

特に離檀料のように明確な基準がないお金の問題は、多くの人が戸惑うポイントでしょう。

私自身も「墓守娘」として、正解のない問題に直面する大変さは痛いほどわかります。

次のページでは、少しでも不安を減らして改葬先を選ぶための具体的な視点と、よくある疑問への回答をまとめました。

墓じまい・改葬先でよくある5つの疑問(Q&A)

Q. 「永代供養」と「永代使用」はどう違いますか?

永代供養は、寺院や霊園が遺骨を預かり永代にわたって供養することを指す慣行上の呼び方です。

一方、永代使用は永代使用料を払ってお墓の区画を使用する権利を得ることを指し、まったく別の仕組みです。

「永代」という言葉が共通するため混同しやすい点に注意が必要です。

Q. 永代供養は何年後に合祀されますか?

施設によって異なりますが、三十三回忌など一定の年数を目安に、最終的には合祀スペースへ遺骨を移す契約になっているケースが一般的といわれています。

個別安置や樹木葬・納骨堂の個別区画を選ぶ場合も、契約前に何年後にどう扱われるのか確認しておきましょう。

Q. 合祀墓を選んだ後で、やっぱり個別にお参りしたくなったら変更できますか?

合祀墓は他の方の遺骨と区別せずに埋葬するため、一度埋葬すると遺骨だけを個別に取り出すことは基本的にできません。

将来の気持ちの変化まで想定したうえで選ぶことが大切です。

Q. 離檀料は必ず支払わなければなりませんか?

離檀料は法律で支払いが義務づけられているものではなく、寺院へのお礼(お布施)としての性格を持つものです。

金額に明確な基準はなく、当事者間の話し合いによって決まります。納得できない場合は、消費者ホットライン「188」への相談も選択肢のひとつです。

Q. 永代供養料は相続税の対象になりますか?

お墓などと同じ「祭祀財産」にあたるため、原則として相続税の対象にはならないとされています。

ただし、生前に支払った場合は相続税を抑える効果が期待できる一方、死後に相続人が支払った場合は「葬式費用」として相続財産から控除できないのが一般的です。

※費用の内訳や契約内容によって税務上の判断が異なる可能性があるため、実際の申告にあたっては必ず税理士や税務署などの専門機関にご確認ください。

改葬先を検討するときに確認しておきたい3つの視点

墓じまいの改葬先として永代供養(合祀墓・個別安置・樹木葬・納骨堂)を選ぶかどうかを決める前に、押さえておきたい視点が3つあります。

1. 承継者の有無と将来の管理体制

承継者が不要とはいえ、霊園や寺院が将来にわたって管理を続けられるかは契約前に確認したい点です。

運営主体の実績や、管理が難しくなった際の対応方針まで見ておくと安心です。

2. アクセスと参拝のしやすさ

樹木葬など自然の中にある改葬先は天候によって足元が悪くなることもあり、屋内納骨堂であれば天候の影響は受けにくくなります。

いずれにしても、自分や家族が無理なく通える距離や環境かどうかが大切な基準になります。

3. 契約内容の柔軟性

どの形式を選ぶにしても、将来的な区画変更や再改葬への対応、何年後に合祀スペースへ移されるかなど、契約内容を確認しておくと後で選択肢が狭まる事態を避けやすくなります。

こうした視点は、こちらの記事でお話しした「後悔しないための3つの鉄則」とも重なる部分です。

改葬先を決める一度きりの選択だからこそ、価格の比較だけで終わらせず、これらの視点も含めて家族で話し合っておくことをおすすめします。

お盆が過ぎたら、家族で「次の一歩」を話し合おう

墓じまいの改葬先は、一般墓だけではありません。

承継者を必要としない永代供養は、合祀墓・個別安置・樹木葬・納骨堂といった複数の形から、多様化する家族のあり方に合わせて選べる供養のあり方であり、これからさらに選ばれる場面が増えていくと考えられます。

ただし、埋葬形式ごとの特徴や費用、契約条件、そして離檀料や相続税といった周辺の論点は、事前にしっかり確認しておくことが、後悔しないための第一歩になります。

家族によって、大切にしたいものは違います。費用を優先したい家庭もあれば、個別にお参りできることを重視したい家庭もあるでしょう。

どちらが正しいということではなく、家族それぞれの事情や気持ちに合わせて選べること自体が、永代供養という選択肢が広がってきた意味なのだと思います。

筆者の実家では、かつて遠方の公営墓地に祖父母の遺骨が納められていました。

それは父のきょうだいたちがまだ若い頃に選んだお墓でしたが、時が経ち、墓参りをする子どもたち自身も高齢化。

「そろそろお墓を移そう」と誰からともなく声が上がり、現在は親族の住まいに近いエリアの狭小墓へと移しました。

これが我が家にとっての「第一の改葬」です。

おかげで子や孫は墓参りがしやすくなりましたが、次はそのお墓を今後どうするかという問題が控えています。

いずれは墓じまいという「第二の改葬」を迎えることになるでしょう。

墓守娘の立場からすると、いくら「自分の子どもたちに負担をかけたくない」という思いがあっても、自分の一存だけで簡単に「しまえる」ものではないと痛感しています。

「思っていたより費用がかかった」「途中で気持ちが変わった」という声は本当によく耳にします。

だからこそ、契約前に一度立ち止まって家族と話し合う時間を持つだけで、後悔の多くは避けられるような気もします。

お盆やお彼岸で親族が集まる機会は、こうした話し合いをするのに適したタイミングです。

今回の内容を参考に、実家のお墓についてもう一歩踏み込んで話し合ってみてはいかがでしょうか。

※永代供養料の相続税上の扱いなど税務・法制度に関わる内容は、本記事執筆時点の一般的な整理であり確定的な情報ではありません。個別の判断にあたっては、税理士や税務署、自治体窓口など専門機関に必ずご確認ください。

参考資料

熊谷 良子LIMO&ホーム編集部記者/ 相続診断士 / ガーデンコーディネーター/証券外務員二種資格

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