この記事はここがポイント
- 2023年10月、全国空き家は過去最多約900万戸、全住宅の13.8%の現状。
- 『空家等対策の推進に関する特別措置法』で、放置空き家は指導・勧告・命令対象。
- 売却、賃貸、空き家バンク、解体など、状況に応じた多様な対策。
近所を歩いていて、庭の草木がすっかり伸び放題になったお宅を見かけたことはありませんか。
私自身もそうした家を見るたびに「この家は今どうなっているのだろう」と気になってしまう性分です。
誰も住まなくなった家、いわゆる「空き家」が増えているというニュースを目にする機会も、ここ数年でずいぶん増えました。
そこで今回は、日本の空き家問題の現状と背景にある原因、そして放置した場合のリスクや活用・対策の選び方について、公的なデータをもとに整理してお伝えします。
近所を歩いていて庭が伸び放題になったお宅を見かけることが増えたように感じる今、全国で増え続ける空き家の現状となぜ増えているのかという背景、放置した場合の法律上の扱いから、売却・賃貸・空き家バンクといった活用の選択肢まで、公的データをもとに整理してお伝えします。
空き家はどれくらい増えているのか
まず気になるのは、実際にどれくらいの空き家があるのかという点です。
総務省統計局が公表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月時点で全国の空き家数はおよそ900万戸、住宅全体に占める空き家率は13.8%と、いずれも過去最多を更新しました。
5年前の前回調査と比べても、空き家の数はさらに増えている状況です。数字だけを見ると「そんなに」と驚かれる方も多いのではないでしょうか。
私自身、実家周辺を歩いていても、以前は人の気配があった家が静かになっている場面に出くわすことが増えたように感じます。
なぜ空き家が増えているのか
空き家が増える背景には、一つの原因だけでなく複数の事情が重なっています。代表的なものを挙げると、次のようになります。
- 人口減少や高齢化により、住む人がいなくなった家がそのまま残ってしまう
- 相続した家をどうするか決めきれず、管理や処分が先送りになる
- 解体するにも費用がかかり、踏み切れないまま放置されてしまう
- 遠方に住んでいて、こまめな管理が難しい
- 思い出のある家を手放しがたく、気持ちの整理がつかない
なかでも「相続したけれど、どうすればいいか分からない」という声は、身近でもよく耳にします。相続や不動産の手続きは専門用語が多く、忙しい日々のなかで後回しにしてしまう気持ちも、とてもよく分かります。
加えて、遠方に暮らす家族が実家を管理する場合、定期的に足を運ぶだけでも時間や交通費の負担が積み重なっていきます。
放置するとどうなるのか
空き家をそのままにしておくと、どのような扱いを受けるのでしょうか。
国は『空家等対策の推進に関する特別措置法』(平成26年法律第127号)という法律を定め、市区町村が空き家対策に取り組む枠組みを整えています。
国土交通省によると、この法律に基づき、倒壊のおそれがあるなど周辺への影響が大きい空き家は「特定空家等」に指定され、市区町村から所有者へ指導・勧告・命令等が行われる仕組みになっています。
さらに令和5年の法改正では、特定空家等になる手前の段階で早めに手を打つための『管理不全空家等』という区分が新しく設けられました。国土交通省によると、この改正の狙いは、空き家が深刻な状態になる前に、所有者が適切な管理を行うよう促すことにあります。
税金面での扱いが気になる方も多いと思いますが、固定資産税の取り扱いは個々の状況によって異なるため、断定的なことは書けません。お住まいの市区町村や税理士に確認しておくと安心です。
実家の空き家、まず何から考える?
「そろそろ実家のことを考えないと」というとき、いきなり売却や解体を決める前に、次のような点を整理しておくと進めやすくなります。
- 家の状態(老朽化の程度、修繕が必要な箇所)を把握する
- 登記名義や相続人が誰になっているかを確認する
- 家族間で「残す・活用する・手放す」の方向性について話し合っておく
- 自治体の空き家相談窓口があるか調べておく
一気に結論を出そうとせず、まずは現状を整理するところから始めるのが、遠回りのようで実は近道になることが多いように感じます。
空き家をどう活用・対策していくか
一般的に検討されている選択肢を整理してみます。
- 売却する:不動産会社に相談し、市場での売却を検討する
- 賃貸に出す:リフォームのうえで貸し出し、活用する
- 空き家バンクを利用する:自治体が運営する「空き家バンク」に登録し、移住希望者等とのマッチングを図る
- 解体する:老朽化が進んでいる場合は、解体して更地にすることも選択肢の一つ
どの方法が向いているかは、家の状態や立地、家族の意向によって変わります。「絶対にこうすべき」というものではなく、状況に合わせて選んでいくことが大切です。
空き家バンクは自治体によって取り組み方に差があるため、まずはお住まいの自治体、または実家がある自治体の窓口に問い合わせてみるのがよいでしょう。
関心を持つ人が増えている背景
空き家問題は、所有者だけの話ではなく、移住や地方創生の文脈でも注目されています。内閣官房が令和7年2月に公表した調査によると、地方移住に関心を持つ東京圏在住の若年層のうち、実際に「移住先の住宅情報を調べた」と回答した人が最も多かったとされています。
関心を持つだけでなく、具体的な行動に移す人が一定数いることがうかがえます。
空き家の活用は、そうした移住希望者の受け皿としても、地域の暮らしを支える一つの手段として期待されている面があるのです。
まとめ
空き家問題は、全国的な統計データからも分かるとおり、決して他人事ではない身近な課題になりつつあります。放置すれば行政からの働きかけを受ける可能性がある一方で、売却・賃貸・空き家バンクの活用・解体など、状況に応じた選択肢もいくつか用意されています。ご実家や所有する家について気になることがあれば、まずは自治体の窓口や専門家に相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。
ご利用にあたっての注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産会社・解体業者・自治体施策の利用を推奨・勧誘するものではありません。記載の統計・制度は執筆時点(2026年9月)のものであり、今後の統計更新や法改正により内容が変わる場合があります。固定資産税の取り扱いや個別の空き家に関するご判断は、お住まいの市区町村の窓口、および税理士・司法書士・土地家屋調査士・不動産会社など専門家への相談のうえ、ご自身の判断で行ってください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
法務ライターとして相続や不動産にまつわる手続きの多さに面食らった経験があります。専門用語が並ぶ書類を前に、忙しい毎日のなかで「とりあえず後回しに」という気持ちになるのも、とてもよく分かる気がします。実家周辺を歩いていても、以前は人の気配があった家が静かになっている場面に出くわすことが増えたように感じており、他人事ではないテーマだと受け止めています。
記事の中でも紹介したとおり、総務省統計局の調査によると、2023年10月時点で全国の空き家数はおよそ900万戸、空き家率は13.8%といずれも過去最多を更新しました。5年前の前回調査と比べても数が増えている点は、数字として見るとあらためて驚かされます。背景には人口減少や高齢化だけでなく、相続した家をどうするか決めきれない、解体費用がかかる、遠方に住んでいて管理が難しい、思い出のある家を手放しがたいなど、複数の事情が重なっていることも整理しています。
放置すれば、国土交通省の資料にあるとおり「特定空家等」や、その手前の段階として令和5年の法改正で新設された「管理不全空家等」に指定され、市区町村から指導・勧告・命令等を受ける可能性があります。一方で、売却・賃貸・空き家バンクの利用・解体など、状況に応じた選択肢もいくつか用意されていることも押さえておきたいポイントです。まずは家の状態や登記名義・相続人を確認し、家族で「残す・活用する・手放す」の方向性を話し合っておくと、いざというときに慌てずに済みそうです。自治体の空き家相談窓口があるかを調べておくのも、遠回りに見えて実は近道になるように思います。
制度の基礎を学んできた立場からも、固定資産税の扱いなど個々の状況によって変わる部分については、断定的なことは書けません。ご実家や所有する家のことで気になる点があれば、まずはお住まいの市区町村の窓口や、税理士・司法書士・土地家屋調査士などの専門家に相談するところから始めてみてください。制度や統計は今後更新される可能性もあるため、最新の公式情報もあわせてご確認いただけると安心です。