この記事はここがポイント
- 樹木葬は合祀・集合・個別の3タイプがあり、費用優先の合祀型選択による後悔が多く、タイプ理解が重要
- 承継者不要、初期費用抑制が利点だが、費用や申込資格は運営主体で幅広く、事前の公式資料確認が必須
- 契約前の費用内訳、解約規定、家族合意を書面確認し、後悔を防ぐ対策
「樹木葬」という言葉を、ニュースや周囲の会話で見聞きする機会が増えたと感じている方もいるのではないでしょうか。
「跡継ぎがいなくても供養してもらえる方法を知りたい」「実家のお墓じまいをしたあと、どこに納骨すればいいのか分からない」——こうした悩みから樹木葬に関心を持つ方は少なくありません。
一方で、「樹木葬にして後悔した」という声が気になり、一歩を踏み出せない方もいるでしょう。
そこで今回は、樹木葬の基本的な仕組みから費用の目安、メリット・デメリット、契約前に確認しておきたいポイントまで、順を追って整理します。
家族に負担をかけたくないという気持ちから樹木葬を検討する方は多いと思いますが、だからこそ一人で決めずに、費用や条件を書面で確認しながら、家族・親族とじっくり話し合う時間を持っていただきたいと感じます。
樹木葬とはどんな供養方法?法律上の位置づけ
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木や草花を目印として遺骨を埋蔵する供養方法の総称です。
墓地であればどこでも自由に行えるわけではなく、「墓地、埋葬等に関する法律」(厚生労働省所管)に基づき、都道府県知事等の許可を受けた墓地・霊園でのみ実施できます。
運営主体としては自治体・寺院・民間霊園事業者などが挙げられますが、法律上、墓地の経営許可を受けられる主体は原則として地方公共団体・宗教法人・公益法人等に限られます。
民間企業が窓口となっている霊園でも、法的な経営主体は宗教法人等であるケースがあり、どこが経営・運営しているかによって申込資格や条件が変わってくる点に注意が必要です。詳細については、専門家や自治体窓口に確認してみてください。
埋葬形態は3タイプ、それぞれ特徴が異なります
樹木葬と一言でいっても、実際の埋葬の仕方には主に3つのタイプがあります。
- 合祀型:他の方の遺骨と一緒に埋蔵する形式。費用を抑えやすい一方、後から個別に取り出すことはできません。
- 集合型:区画自体は分かれているものの、シンボルツリーや管理は共同で行う形式。
- 個別型:個別の区画に埋蔵し、一定期間は個別に管理される形式。一般墓に近い形でお参りしやすいのが特徴です。
「後悔した」という声の多くは、費用の安さだけで合祀型を選んだあと、個別にお参りしたい気持ちが強くなった、というケースに集まりがちです。
タイプごとの違いを事前に理解しておくことが、後悔を避ける第一歩になります。
一般墓・永代供養墓との違い
樹木葬の大きな特徴は、承継者(お墓を引き継ぐ人)が不要であることです。
一般墓は基本的に子や親族が代々管理していくことが前提ですが、樹木葬は運営主体が管理を担うため、「子どもに負担をかけたくない」という方に選ばれやすい供養方法といえます。
また、墓石を建てないため初期費用を抑えられる傾向がある点も、永代供養墓と共通する特徴です。主な違いを整理すると、次のようになります。
【表】一般墓、永代供養墓、樹木葬の一般的な違い
※上表は一般的な傾向の整理であり、契約内容は運営主体ごとに異なります。個別の条件は必ず公式資料でご確認ください。
墓じまいの受け皿として選ばれることも
実家のお墓を管理する人がいなくなった、いわゆる「墓じまい」(改葬)をしたあと、遺骨の受け皿として樹木葬を選ぶ方も増えています。改葬にあたっては、もとの墓地の管理者から発行してもらう書類や、自治体への改葬許可申請といった手続きが必要になる場合があります。
手続きの詳細は自治体・寺院・霊園によって異なるため、検討されている方は現在お墓がある市区町村の窓口や、墓地の管理者に相談してみましょう。
改葬にともなって寺院との関係を終える際に、想定より高額な離檀料を求められたという相談も、国民生活センターに寄せられています。事前に費用の見込みを確認しておくと、思わぬトラブルを避けやすくなります。
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
