この記事はここがポイント
- 日照条件「日なた・半日陰・明るい日陰・日陰」の区分がわかる
- 自分の庭・ベランダがどの区分にあたるか、方位や場所から判断するコツを紹介
- 日当たり区分別のおすすめ植物例や、日陰の庭の楽しみ方がわかる
「半日陰」や「明るい日陰」という言葉を植物の商品タグやガーデニング関連の記事などでよく見かけるものの、自分の家の庭やベランダがどれに当てはまるのか、判断に迷った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日照条件(日当たり区分)は「日中の何時間くらい日光が当たるか」が主な基準になっています。植物を植えたい(鉢植えを置きたい)場所の日照条件がわかると、その日当たりに適した植物を選ぶことができるため、植物が育ちやすくなりますよ。
この記事では、日なた・半日陰・明るい日陰・日陰の区分から、方角や季節による違い、日当たり区分別のおすすめ植物例までわかりやすく解説します。
日照条件「日なた・半日陰・明るい日陰・日陰」の区分
区分別の日照時間の目安
庭づくりや植物を育てる場所の説明でよく使われる日当たり区分は、次の4つです。
- 日なた:日中ほぼずっと日光が当たり、日陰になる時間が3時間以下の場所。
- 半日陰:日中の半分程度の時間日が当たる場所や、日なたの木の下など木漏れ日程度の光が当たる場所。
- 明るい日陰:1日を通して直射日光はほとんど当たらないが、白系の外壁や窓などの反射光である程度の明るさがある場所。または、日中1〜2時間程度日が当たる場所。
- 日陰:1日を通して直射日光がほとんど当たらない、暗い場所。
※日照時間は季節や落葉樹の有無によっても変わるため参考程度とし、厳密に考える必要はありません。
自宅の庭やベランダの日照条件は?方位・場所から判断するコツ
日照条件は、方角や周囲の環境からおおよその見当をつけることができます。
- 南向き:1日を通して日が当たる「日なた」になりやすい。ただし、大きな庇(ひさし)の下や、隣接する建物、フェンスなどの影になる部分は「半日陰」になることもある。
- 東向き:午前中に日が当たり、午後は日陰になりやすいため、「半日陰」になることが多い。
- 西向き:午後から夕方にかけて日が当たる「半日陰」になることが多い。西日が当たるため、夏は乾燥や葉焼けをしやすく注意が必要。
- 北向き:直射日光があまり当たらず「明るい日陰」や「日陰」になりやすい。
ただし、周囲の建物や樹木の高さなどによって実際の日照条件は大きく変わります。そのため、可能であれば天気がいい日の朝・昼・夕方に自宅の庭やベランダを数日観察し、どのくらいの時間日が当たっているのかを確認してみるとよいでしょう。
季節によっても日照条件は変わる
同じ場所でも、季節によって日照条件は変化します。
夏は太陽が高い位置を通るため、建物やフェンスなどの影が短くなり、日の当たる時間が長くなることがあります。反対に冬は太陽の位置が低くなるため、建物やフェンスなどの影が長く伸び、日当たりが悪くなりがちです。
落葉樹の下も季節差が大きい場所のひとつ。夏は葉が茂って半日陰になりますが、冬は葉が落ちることで日当たりがよくなります。このような場所は、夏の直射日光で葉焼けしやすい植物や、冬~早春に花を咲かせる植物の栽培に適しています。
日当たり区分別のおすすめ植物例
ここからは、日当たり区分別に、代表的なおすすめ植物の例を挙げます(詳しい育て方や品種などは、別記事もあわせて参考にしてください)。
日なた向き:マリーゴールド、ムクゲなど
マリーゴールド
ムクゲ
マリーゴールドやムクゲなど、日なたを好む植物は、太陽の光をたっぷり浴びることでたくさんの花を咲かせます。真夏の日なたでも元気に花を咲かせる植物が多く、庭を華やかにしてくれる存在です。
半日陰向き:クリスマスローズ、アジサイなど
クリスマスローズ
アジサイ
日当たりが悪いと花つきが悪くなる半面、強い日差しや乾燥が苦手な植物は、半日程度日が当たる「半日陰」を好みます。とくに、午前中のみ日が当たる東向きの庭やベランダなどは、半日陰の植物が生育しやすい環境であることが多いです。
明るい日陰向き:ヒューケラ、ギボウシなど
ヒューケラ
ギボウシ
暗い日陰では葉色が悪くなって見栄えがしないけれど、直射日光が長時間当たると葉焼けしてしまうカラーリーフなどは、明るい日陰で育てると美しさを最大限に発揮します。
日陰向き:アジュガ、アオキなど
アジュガ
アオキ
一日中暗くなりがちな「日陰」では、葉数や葉色が控えめになり、うまく育たない植物も多くあります。そのような場所には、日陰に特に強い植物を選びましょう。アジュガやアオキは暗い日陰でも元気に育ち、空間を彩ってくれますよ。
日当たりの悪い場所でガーデニングを楽しむための工夫
日陰だからこそ楽しめる植物を植える
クリスマスローズ
日陰は植物が育ちにくいマイナスな場所と思われがちですが、真夏の直射日光による葉焼けが起きにくい、花壇やプランターの土が乾きにくいなどのメリットも多い場所です。
前述したように、「日陰」「半日陰」「明るい日陰」で育てられる植物もたくさんあります。北向きの庭やベランダで「日当たりが悪いから」と諦めてしまう前に、日陰だからこそ楽しめる花やカラーリーフを取り入れてみましょう。
「日陰で育つ」は「完全な日陰でも育つ」という意味ではない?
「日陰で育つ」と言われている植物でも、その多くは「半日陰」や「明るい日陰」を好みます。完全な「日陰」で生育できる植物もありますが、そのような場所では花つきや葉色が悪くなりがちです。
可能であれば、少しでも明るい場所や、1日1〜2時間でも直射日光が当たる場所を選んで植え付けると、育てやすくなりますよ。
暗い日陰を「明るい日陰」に近づける工夫
完全な日陰の場所でも、周囲の環境を工夫することである程度の明るさを確保できる場合があります。たとえば、壁やフェンスを白系の色にしたり、足元に白っぽい砂利やレンガを敷いたりすると、反射光によって明るさを補う効果が期待できます。
あまり日当たりがよくない空間は、太陽がたくさん当たる「日なた」とはまた違う、しっとりと落ち着いた癒しの「シェードガーデン」を作れる場所。真夏でも日なたほど暑さを感じず、植物のみずみずしさを存分に味わえる贅沢な空間でもあります。
工夫次第で少しでも明るさを確保できれば、育てられる植物の種類も増えますよ。ぜひ試行錯誤も楽しみながら、素敵な空間をつくってみてください。
日当たりに関するよくある質問
Q. 北向きのベランダは日陰?
A. 北向きのベランダは直射日光がほとんど当たらないため、明るい日陰〜日陰になることが多い方角です。ただし周囲に高い建物がなく空が開けている場合は、反射光である程度の明るさが確保できることもあります。
Q. 西日が当たる場所は日なた扱い?
A. 日光が当たる時間が3時間以下なら、西日が当たる場所でも日なた扱いにはなりません。「西日は植物にとって良くない」と言われることがありますが、これは、気温が上がって土が乾く午後から夕方にかけて日が当たることで、植物が傷みやすいからです。
可能であれば植物の西側に寒冷紗やすだれなどを設置して日差しを和らげたり、植物の根元にバークチップなどでマルチングをしたりしてあげると、葉焼けや乾燥を防ぎやすくなりますよ。
Q. 観葉植物のラベルにある「明るい室内」と「明るい日陰」は違う?
A. 「明るい室内」は屋内でレースカーテン越しなどの優しい光が入る環境を指すことが多く、屋外の日当たり区分である「明るい日陰」とは前提が異なりますが、単純な日照条件だけを考えればかなり似ています。
しかし、室内と屋外では、風の当たり方や昼夜の気温差などの環境条件が異なります。観葉植物を屋外に置く場合は、こうした違いにも注意しましょう。
Q. 半日陰か明るい日陰か迷ったら?
A. 判断に迷う場合は、より条件が厳しい方(日照時間が短い方)を想定して植物を選ぶと育てやすくなります。また、トレニアやノシランのような、日なたから明るい日陰までどこでも育つ、適応範囲の広い植物を選ぶのもひとつの手です。
樹木医、1級造園施工管理技士。テーマパークの植栽管理業務に7年間従事し、植物のメンテナンスや樹木診断、空間演出に携わる。現在はくらしとお金の経済メディア「LIMO」にてガーデニングおよびアウトドア分野の記事執筆・監修を担当。
日照条件に合う植物を探しながらガーデニングを楽しもう
「半日陰」「明るい日陰」という言葉は、少し抽象的に感じてしまうかもしれません。しかし、方位や季節によって条件が変わることを知っておくと、大体の見当がつけやすくなるのではないでしょうか。
また、この記事では、日当たり区分ごとにそれぞれの日照条件を好む植物を紹介しましたが、特定の日当たり区分でしか育たない植物はほとんどないので、あまり厳密に考えないことも大切です。
まずは、植物を育てたい場所の日照条件に合いそうな植物をいくつか育ててみましょう。「直射日光が当たりすぎる」「日当たりが悪すぎる」などの日照条件でガーデニングを諦めず、楽しみながら自宅の環境に合った植物を探してみませんか。