この記事はここがポイント
- 永代供養は寺院・霊園による遺骨管理・供養、33回忌等期限付きが一般的
- 永代供養への墓じまい、改葬許可申請が必須、10年で件数は倍増
- 永代供養料は相続税の葬式費用に原則含まず、費用は施設・方法で変動、専門家への確認必須
「実家のお墓を継ぐ人がいない」「子どもに管理の負担をかけたくない」——そうした理由から、永代供養を検討する方が増えています。
ただ、いざ調べ始めると、「永代供養」と「永代使用」の違いや、墓じまいの手続き、費用の内訳など、分からないことが次々に出てくるのではないでしょうか。
そこで今回は、永代供養の基本的な考え方から、墓じまい(改葬)の手続きの流れ、費用を考えるうえで知っておきたい点、そして相談先まで、終活・お墓の準備を進めるうえで押さえておきたい基礎知識を整理してご紹介します。
なお、費用や手続きの詳細は個々の事情や地域・寺院・霊園によって異なります。本記事はあくまで一般的な基礎知識の整理としてご覧いただき、具体的な判断は専門家や公式窓口にご確認ください。
制度の基礎を学んできた立場からも、「永代供養」と「永代使用」は言葉が似ている分、混同しやすい制度だと感じています。今回は、両者の違いから、墓じまい(改葬)の手続きの流れ、費用を考えるときの注意点まで、一つずつ順を追って整理しました。個別の判断については、最新の公式情報や専門窓口でのご確認をおすすめします。
永代供養とは?「永代使用」との違いを整理
「永代供養」は、法律上定義された用語ではなく、寺院や霊園がお墓参りをする人に代わって遺骨の管理・供養を続けていく埋葬方法を指す、慣行上の呼び方です。
全国優良石材店の会(全優石)によると、永代供養とは「寺院や霊園が遺骨を預かり永代にわたって供養すること」であり、これとよく似た言葉である「永代使用」とは、「永代使用料を払ってお墓の権利を取得し、その土地を永代にわたって使用すること」を指すとされ、両者の意味はまったく異なると説明されています。
また、「永代」といっても「未来永劫」という意味ではなく、遺骨の安置期間には一定の期限(33回忌までとするケースが多いとされる)が設けられていることが一般的とされています。
ただしこれは決まりではなく、寺院・霊園によって17回忌や50回忌など期限の設定が異なるため、契約前に確認しておくことが大切です。
永代供養の主な種類
永代供養には、いくつかの埋葬方法があります。
- 合祀墓(合同墓):他の方の遺骨と一緒に埋葬する形式
- 個別安置:一定期間は個別に安置し、期限後に合祀される形式
- 樹木葬:樹木や草花を墓標として埋葬する形式
- 納骨堂:屋内の施設に遺骨を安置する形式
樹木葬は自然に還るイメージから選ばれる傾向がある一方、納骨堂は天候に関わらず参拝しやすい点が特徴として挙げられることがあります。ただし、設備や運用の細かな違いは施設ごとに異なるため、資料の取り寄せや現地見学で個別に確認することをおすすめします。
いずれの形式も、期限や安置方法の詳細は寺院・霊園によって異なります。一度合祀されると、後から遺骨だけを取り出すことは基本的にできなくなる点も、選ぶ前に理解しておきたいポイントです。
墓じまい(改葬)の手続きの基本的な流れ
実家のお墓を永代供養に切り替える場合、「墓じまい」、法律上は「改葬」と呼ばれる手続きが必要になります。
「墓地、埋葬等に関する法律」第2条3項では、改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義しています。
また同法第5条1項により、改葬を行おうとする者は市町村長の許可を受けなければならず、同条2項により、その許可は遺骨が現に存する地の市町村長が行うものとされています。
このため、墓じまい・改葬の手続きは、大津市・筑紫野市など複数の自治体の案内によれば、大まかに次のような流れになります(詳細な必要書類・様式は自治体・寺院・霊園により異なるため、個別に確認が必要です)。
- 現在のお墓の管理者(寺院・霊園)から、埋蔵(埋葬)証明書等の書類を受け取る
- 新しい受入先(永代供養墓・納骨堂等)から、受入証明書等を受け取る
- これらの証明書を添えて、遺骨が現に存する地の市区町村に、改葬許可を申請する
自治体によって申請書の様式や必要書類が異なるため、居住地・墓地所在地の市区町村の公式窓口で、最新の手続き内容を確認することをおすすめします。手続きに時間がかかることもあるため、早めに窓口へ相談しておくと安心です。
墓じまい(改葬)件数はここ10年で倍増しており、トラブルを避けるための具体的なポイントは、別記事でも詳しく解説しています。
費用を考えるときに知っておきたいこと
永代供養にかかる費用は、主に次のような項目に分かれます。
- 永代供養料:遺骨の管理・供養にかかる費用
- 墓石の解体・撤去費:既存のお墓を墓じまいする場合にかかる費用
- お布施:法要等を依頼する場合の謝礼
お布施の金額は宗派や地域の慣習によって考え方が異なるとされ、明確な金額が定められているものではありません。
具体的な金額は、埋葬方法(合祀・個別安置・樹木葬・納骨堂等)、宗派、地域、依頼する寺院・霊園によっても大きく異なります。
執筆時点で、全優石など業界団体による一例としての金額紹介はあるものの、費用の統一的な相場を示す包括的な統計・公的資料は確認できなかったため、本記事では具体的な金額の記載を見合わせています。
検討にあたっては、複数の寺院・霊園・石材店等に個別に見積もりを確認することをおすすめします。
永代供養料と相続税の関係
永代供養料が相続税の計算上どのように扱われるかも、気になる方が多いポイントです。
国税庁によると、香典返しのためにかかった費用、墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料、法会(法事)に要する費用などは、相続税の債務控除の対象となる「葬式費用」には含まれないとされています。
永代供養料がこの「法会に要する費用」や「墓地の買入費」にあたるかどうかは、個々の状況によって判断が異なる可能性があります。
断定的な取り扱いはできないため、相続税の申告にあたっては、税理士や税務署に個別に確認することをおすすめします。
相続手続き全体については、『遺産分割協議書とは』の記事もあわせてご覧ください。
後悔しないために確認しておきたいポイント
永代供養を選んだあとに後悔しないよう、契約前に次の点を確認しておくとよさそうです。
- 供養・安置の期限(33回忌等)が、寺院・霊園ごとにどう設定されているか
- 合祀後は遺骨を個別に取り出せなくなる点を理解しているか
- 依頼したい宗派・宗旨に対応しているか(宗派を問わない寺院・霊園もあります)
- 費用の内訳と、契約内容が書面で確認できるか
これらは寺院・霊園によって扱いが異なるため、契約前に直接問い合わせて確認することが、後悔を避ける一番の近道といえそうです。家族間で希望が分かれることもあるテーマなので、決める前に親族と話し合っておくことも大切です。
永代供養の検討は終活の一環でもあるため、『エンディングノートの書き方』もあわせてご参照ください。
まとめ
永代供養は、寺院・霊園が遺骨の管理・供養を代わりに行う埋葬方法の総称であり、「永代使用」とは異なる考え方です。
墓じまい(改葬)には市区町村への許可申請が必要で、費用は埋葬方法や依頼先によって幅があります。
相続税の扱いなど税務面の判断も含め、個別の事情に応じた確認が欠かせないテーマです。ご自身やご家族の状況に合わせて、無理のない範囲で検討を進めてみてはいかがでしょうか。
また、実家のお墓だけでなく、遺品整理などの「実家じまい」全体を進めている方は、『遺品整理はいつから始める?費用相場と業者選び・自分でできる手順』もあわせてご覧ください。
家族で話し合う時間が、いざというときの安心に
ご利用にあたっての注意
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の寺院・霊園・石材店等との契約を推奨・勧誘するものではありません。
- 記載の制度・手続きは執筆時点(2026年時点)の情報に基づく一般的な整理であり、実際の取り扱いは地域・寺院・霊園・個々の事情により異なります。
- 墓じまい・改葬の手続きは居住地・墓地所在地の市区町村窓口に、税務上の判断は税理士・税務署に、相続全体に関わる手続きは司法書士・弁護士・行政書士等の専門家に、それぞれご相談のうえ、ご自身の判断で進めてください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
今回の記事で扱った「永代供養」と「永代使用」は混同しやすい典型だと感じました。「永代」という言葉から未来永劫のイメージを持ってしまいがちですが、実際には33回忌までなど一定の期限が設けられていることが一般的とされている点も、事前に知っておきたい基礎知識だと思います。寺院や霊園によって17回忌や50回忌など期限の設定が異なるとされているため、契約前の確認がなおさら大切になりそうです。
改葬の手続きについても、記事内でご紹介したとおり、遺骨が現に存する地の市区町村長の許可が必要になります。制度の基礎を学んできた立場からすると、こうした行政手続きは「誰に」「何を」「どこへ」提出するのかを一つずつ整理することが、遠回りのようで一番の近道だと感じます。現在の管理者からの埋蔵証明書、新しい受入先からの受入証明書と、そろえる書類が複数にまたがるため、証明書の準備に時間がかかることもあります。早めに寺院や霊園、自治体の窓口へ相談しておくと安心です。
費用面では、永代供養料や墓石の解体・撤去費、お布施など、項目ごとに考え方が異なり、地域や宗派によっても差が大きいのが実情です。お布施のように、明確な金額の定めがないとされているものも含まれており、統一的な相場資料が見当たらない以上、複数の候補先に個別に確認することが、結果的に納得のいく選択につながるはずです。
相続や終活に関わる制度は、税制や運用が変わることもあります。ご家族で話し合う時間そのものが、いざというときの安心につながるように思います。個別の判断は、最新の公式情報や、税理士・司法書士・自治体窓口といった専門の窓口で確認すると安心です。