この記事はここがポイント
- 借り換えは金利差に加え諸費用、審査、住宅ローン控除影響を含む総合判断項目
- 金利差1%、残り10年、残高1000万円が目安、個別シミュレーションが不可欠
- 住宅ローン控除は、当初ローン返済目的や10年返済など要件で借り換え後も適用継続
「今より金利の低いローンに借り換えれば、返済がラクになるのでは」——住宅ローンの返済中に、そう考えたことがある方は多いのではないでしょうか。
一方で、「借り換えには手数料がかかると聞いて、結局お得なのか分からない」という声もよく耳にします。
この記事では、住宅ローンの借り換えの基本的な仕組みから、タイミングの考え方、かかる諸費用の目安、そして見落とされがちな住宅ローン控除への影響まで、判断材料を整理していきます。
銀行員時代、住宅ローンの新規契約の相談を数多く担当してきましたが、そこで感じていたのは、金利の高さ低さだけで得か損かを判断してしまう方が意外と多いということでした。今回の記事では、借り換えを検討する際の目安となる考え方から、事務手数料や登記費用といった諸費用の内訳、そして見落とされがちな住宅ローン控除への影響まで、判断に必要な材料をできるだけ丁寧に整理してご紹介しています。
そもそも借り換えとはどういう仕組み?
借り換えとは、現在返済中の住宅ローンを、別の金融機関(あるいは同じ金融機関の別商品)で新しく組み直したローンで一括返済することです。
新しいローンの金利が今より低ければ、毎月の返済額や総返済額を抑えられる可能性があります。
ただし、借り換えには新規の住宅ローンを組むのと同様に審査があり、また後述するとおり諸費用も発生します。
「金利が下がる=必ず得をする」というわけではなく、諸費用を含めたトータルで判断する必要がある点をまず押さえておきましょう。
借り換えのタイミングはいつが目安になる?
借り換えを検討するタイミングとしては、「今の金利と借り換え先の金利差」「残りの返済期間」「借入残高」の3つを基準に試算するのが基本的な考え方です。
よく「金利差が1%以上、残りの返済期間が10年以上、借入残高が1000万円以上あれば借り換えの効果が出やすい」という目安が語られることがありますが、これはあくまで一般的な目安であり、実際に得をするかどうかは諸費用も含めた個別のシミュレーションをしてみないと分かりません。
金融機関によっては借り換え専用のシミュレーションツールを公式サイトで提供している場合もあるため、「今の残高・残りの期間・借り換え先の金利」を入力して、総返済額がどう変わるかを具体的に試算してみてはいかがでしょうか。
借り換えにかかる諸費用の内訳と目安
借り換えの際には、主に次のような諸費用がかかります。金融機関によって内容や金額は異なりますが、代表的なものを整理すると次のとおりです。
借り換えにかかる諸費用の内訳と目安の表
※1 法務省民事局によると、抵当権の抹消登記にかかる登録免許税は、不動産(土地・建物)1個につき1000円とされています(法務省民事局「住宅ローンを完済したことなどによって不動産の抵当権の登記を抹消するための登記申請手続についてご案内します」)。
※2 抵当権設定登記の登録免許税は原則として債権額の0.4%です。国税庁によると、新築または取得後1年以内の住宅にかかる抵当権設定登記については、租税特別措置法第75条に基づき0.1%への軽減措置が設けられています(適用期限は2027年3月31日まで)。この軽減措置は新築・取得後1年以内という期限つきの要件があるため、購入から年数が経っている借り換えの場合は、通常この軽減措置の対象にはならない点に注意が必要です。
事務手数料や保証料は金融機関によって金額や仕組みが大きく異なるため、借り換えを検討する際は、必ず各金融機関の公式サイトや商品説明書で最新の金額を確認するようにしてください。
三菱UFJ銀行出身。窓口・リテール営業で住宅ローン相談を数多く担当し、全国表彰を多数受賞。現在はLIMO&ホームで住宅ローンをはじめとするお金の記事を企画・執筆している。
