男女で比べると、さらに違いが見えてくる
同じ調査では、男女別のガーデニング行動者率も公表されています。総務省統計局によると、全体でみると女性が32.5%、男性が21.0%となっており、女性の方が10ポイント以上高いという結果です。
年代別に男女を分けてピークを見てみると、次のような違いがあります。
- 女性のピークは65〜69歳で49.4%
- 男性のピークは70〜74歳で36.4%
男女別のガーデニング行動者率
女性は60代のうちから半数近くがガーデニングを楽しんでいる計算になり、男性よりもやや早い年代でピークを迎える傾向がうかがえます。
もちろんこれは全体の傾向であり、個々の家庭やライフスタイルによって事情はさまざまですが、「シニア世代、とくに女性に多い趣味」という見立ては、データの上でも一定の説得力を持っているようです。
なぜシニア世代にガーデニングが人気なのか
ここまでの数字を見ると、「なぜシニア世代にこれほど多いのか」が気になるところです。統計そのものは理由までは説明してくれませんが、一般的には次のような背景が指摘されることがあります。
一つには、定年退職や子育ての終了といったライフステージの変化により、平日にまとまった時間を取りやすくなることが挙げられます。
現役世代のうちは仕事や子育てに追われ、庭の手入れまで手が回らないという方も多いはずです。そうした時間的な制約が緩やかになる60代・70代で行動者率が伸びていくのは、自然な流れともいえそうです。
もう一つは住環境の要因です。持ち家に長く住んでいる世帯ほど、庭やベランダなどガーデニングをする物理的なスペースを確保しやすい傾向があります。年代が上がるほど持ち家率が高くなりやすいことも、行動者率の高さに影響している可能性があります。
さらに、屋外で体を動かす軽い活動として、日々の生きがいや気分転換につながると言われていることも背景の一つとされています。
ただし、これらはあくまで一般的に語られている見方であり、医学的な効果を保証するものではありません。年代が上がるほど時間や住環境に余裕が生まれやすい、という社会的な背景が影響している可能性がある、という程度に受け止めておくのが無難でしょう。
これからガーデニングを始めたい人へ
データを見ると、シニア世代の存在感が大きいのは確かですが、30〜40代の行動者率も決して低くはなく、子育て世帯や戸建てを購入したばかりの世帯でも、庭やベランダをきっかけに始める人は一定数います。「シニアの趣味」というイメージにとらわれず、興味を持ったタイミングで始めても遅すぎることはないといえそうです。庭がない住まいでも、鉢植えやプランターを使えばベランダや玄関先で小さく始めることができます。
フラワーアレンジメントも同じですが、最初から手間のかかる庭木や広い花壇を目指す必要はなく、育てやすい植物を1〜2種類から試してみるだけでも、ガーデニングの雰囲気を味わうことができるでしょう。
一方で、始める際にいくつか気をつけたい点もあります。
- 農薬や肥料を使う場合は、製品ラベルに記載された用法・用量を守ること
- ペットや小さな子どもがいる家庭では、口に入れると危険な有毒植物がないか確認すること
- 庭木の高所での剪定や大きな樹木の伐採など、無理をすると危険を伴う作業は、専門の業者に相談すること
こうした基本を押さえておけば、年代を問わず無理のない範囲でガーデニングを楽しみやすくなります。
まとめ
総務省統計局『令和3年社会生活基本調査』のデータを見る限り、ガーデニングの行動者率は年代が上がるほど高くなり、70〜74歳でピークの43.1%に達します。
男女別では女性の方が高く、65〜69歳ではほぼ2人に1人が行っているという結果でした。「ガーデニングはシニア世代に多い趣味」というイメージは、少なくとも令和3年時点の公的統計からは裏付けられているといえるでしょう。
もちろん、この数字は令和3年時点の一つの調査結果であり、今後の調査で変わる可能性もあります。最新の数値が気になる方は、総務省統計局が公表する社会生活基本調査の結果を確認してみてください。
ベランダや玄関先から少しずつ
ご利用にあたっての注意
- 本記事で紹介した数値は、総務省統計局「令和3年(2021年)社会生活基本調査」時点のものであり、将来の調査結果によって変動する可能性があります。
- また、シニア世代に多い理由として挙げた背景は一般的に指摘されている見方であり、医学的な効果を保証するものではありません。
- 最新の情報は公式の統計データをご確認ください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。

華道を長く続けていて、自宅でも植物を育てているので、今回のデータはかなり実感と重なる内容でした。庭やベランダで実際に土いじりまでしている方は、たしかにシニア世代の方が多い印象があります。仕事や子育てに追われていた頃は花を飾るだけで手一杯だった、という声を教室でもよく聞くので、時間の余裕がガーデニングに向かう気持ちを後押ししているのだろうな、と感じていました。
イメージだけで語られがちなテーマだと思っていたので、今回は総務省統計局の「社会生活基本調査」という公的統計を根拠に、実際の年代別・男女別のデータを整理してみました。
記事でご紹介した通り、15歳以上のガーデニングの行動者率は26.9%で、日曜大工やカラオケなど他の趣味と比べても高い水準でした。そこから年代別に見ていくと、10代・20代では1割にも届かないのに対し、60代以降で一気に伸び、もっとも高いのは70〜74歳の43.1%。これは10代後半のおよそ13倍という差で、あらためて数字で見るとその開きの大きさに驚きました。
男女差も印象的で、女性は65〜69歳で49.4%、つまりほぼ2人に1人がガーデニングをしているという結果です。男性のピークが70〜74歳の36.4%なので、女性の方がやや早い年代から楽しんでいる傾向がうかがえます。記事でも触れているとおり、定年退職や子育ての終了で時間に余裕ができることや、持ち家に長く住むことで庭やベランダのスペースを確保しやすくなることが、背景として指摘されています。
一方で、30〜40代の行動者率も決して低くはなく、鉢植えやプランターから小さく始めている方も一定数いることが読み取れます。私自身、最初は小さな鉢植え1つから植物育成を始めた身ですし、周囲の同年代は物価高対策もあるのか、近年家庭菜園にチャレンジしはじめた方が多いですね。イメージにとらわれず、興味を持ったタイミングで気軽に始めてみるのがいいのではないかと感じます。
もちろん、有毒植物の確認や高所での剪定など、注意したい点も記事内で触れられているので、あわせて参考にしていただけたらうれしいです。庭のない住まいでも、ベランダや玄関先から少しずつ緑を増やしていく楽しみ方があると知ると、自分も何か育ててみたくなりますね。