変動金利の5年ルールとは?仕組みとメリット・デメリットを解説
Faizal Ramli/shutterstock.com
住まい

変動金利の5年ルールとは?仕組みとメリット・デメリットを解説

未払利息のリスクや判断のポイントを整理

執筆者中本 智恵編集者/元銀行員
14:00
変動金利の5年ルールとは?仕組みとメリット・デメリットを解説
Faizal Ramli/shutterstock.com

この記事はここがポイント

  • 変動金利の5年ルールは返済額を5年間据え置くが、金利は変動し未払利息発生の可能性。
  • 125%ルールは返済額増加を最大125%に抑えるが、利息は減らず元金が減りにくい実情。
  • これらのルールの採用有無や条件は金融機関で異なるため、契約内容の確認が不可欠。

「変動金利は5年ルールがあるから、金利が上がっても急に返済額が増える心配はない」——そう聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

一方で、「5年ルールには落とし穴がある」という声も見かけ、本当のところどうなのか気になっている方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、変動金利型の住宅ローンに多く採用されている「5年ルール」と「125%ルール」について、その仕組みとメリット・デメリット、そして知っておきたい注意点を整理します。

銀行の窓口で住宅ローンのご相談を数多くお受けしてきたなかでも、『変動金利は5年ルールがあるから安心』という言葉だけが独り歩きしているケースをよく見かけます。今回の記事では、5年ルール・125%ルールが実際に何を固定し、何を固定していないのかを整理しました。未払利息など見落とされがちな注意点もあわせてご紹介していますので、ぜひ最後までご確認いただけたらと思います。

5年ルールとは?何がどう「固定」されるのか

まず押さえておきたいのが、5年ルールで固定されるのは「毎月の返済額」であり、「金利」そのものではないという点です。

三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい。」によると、変動金利かつ元利均等返済(毎月の返済額が一定になる返済方式)の住宅ローンでは、返済額は5年ごとに見直され、金利が変更になっても次回の見直しまで返済額は変わらないとされています。

つまり、金利が上がっても、毎月の返済額自体は5年間据え置かれる一方で、その内訳(元金に充てられる部分と利息に充てられる部分の割合)は変わっていく、ということです。

なお、このルールが適用されるのは、元金均等返済(毎月の元金返済額が一定になる方式)や、固定金利を選んでいる場合には対象外です。ご自身の返済方式がどちらに当たるか、契約時の書類で確認しておくとよいでしょう。

また、変動金利そのものがどのように決まるかは、短期プライムレートとの関係とあわせて別記事で整理しています。

125%ルールとは?返済額の急増を防ぐ仕組み

miya227/shutterstock.com 
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5年ルールとセットで語られることが多いのが「125%ルール」です。

楽天銀行の説明によると、5年ごとに返済額を見直す際、新しい返済額は見直し前の返済額の125%(1.25倍)を超えないようにするという上限が設けられています。

たとえば、これまでの月々の返済額が10万円だった場合、5年後の見直しでどれだけ金利が上昇していても、新しい返済額は12万5000円を超えることはない、という計算になります(あくまで仕組みの説明であり、実際の金額は借入条件によって異なります)。

急激な金利上昇があっても家計への影響を一定に抑えられる点は、多くの方にとって安心材料と言えるでしょう。

具体例で仕組みを整理してみると

言葉だけだとイメージしづらいので、簡単な例で流れを図で整理してみましょう。以下はあくまで仕組みを説明するための試算例であり、実際の返済額とは異なります。

5年ルール&125%ルールがある場合のイメージ

5年ルール&125%ルールがある場合のイメージ
5年ルール&125%ルールがある場合のイメージ

このように、5年ルールは「金利が上がった分をいったん据え置く」仕組みであって、「金利が上がった分がなくなる」わけではありません。

据え置かれている間の差額は、後述する未払利息という形で残ることもある点をあわせて押さえておきたいところです。

「安心」だけではない、知っておきたいデメリット

ここまで読むと「5年ルールがあれば安心」と感じる方もいるかもしれませんが、実はそう単純ではありません。

楽天銀行も注意点として挙げているとおり、適用金利が大幅に上昇した場合、毎月の返済額のほとんど、あるいはすべてが利息の支払いに充てられてしまい、借入残高(元金)がなかなか減らない状態になることがあります。

さらに、利息の支払いが返済額を上回ってしまうと、「未払利息」という、支払いきれなかった利息が積み上がっていく現象が起こる可能性もあります。

つまり、5年ルールは「家計へのショックを和らげる仕組み」ではあっても、「支払うべき利息そのものが減る仕組み」ではありません。

金利が上昇し続けた場合、見直しのタイミングで返済額が大きく引き上げられたり、未払利息の精算が必要になったりするケースもあるため、「返済額が変わらない=負担が増えていない」というわけではない点には注意が必要です。

金融機関によってルールの有無や条件が異なる

「5年ルールがない銀行もあるらしい」という声も聞かれますが、実際には、5年ルール・125%ルールの採用有無や、上限の設定方法は金融機関によって異なります。

三菱UFJ銀行・楽天銀行のように、変動金利・元利均等返済であれば標準的にこれらのルールを適用している金融機関がある一方で、金融機関や商品によって細かな条件が異なる場合もあるようです。

そのため、「うちの銀行にはこのルールがあるのか、ないのか」「上限は本当に125%なのか」といった点は、思い込みで判断せず、契約している(あるいは検討している)金融機関の商品説明書や契約規定で確認することをおすすめします。

金融機関の窓口やコールセンターに直接問い合わせるのも確実な方法です。

金利上昇に備えてできること

5年ルールの仕組みを理解したうえで、金利上昇に備えるとしたら、どのような選択肢があるでしょうか。

住宅ローンだけを切り離して考えるのではなく、貯蓄や資産運用とのバランスの中でどれを優先するかという視点で、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを比較しながら考えてみましょう。

金利上昇時における選択肢のメリット・デメリット比較表

金利上昇時における選択肢のメリット・デメリット比較表
出所:LIMO&ホーム作成
金利上昇時における選択肢のメリット・デメリット比較表

どの選択肢が向いているかは、借入残高や返済期間、貯蓄の状況、資産運用とのバランスなど、家計全体の中で総合的に判断する必要があります。

判断に迷う場合は、借入先の金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門家に相談しながら検討するとよいのではないでしょうか。

まとめ

変動金利の5年ルール・125%ルールは、金利が上昇した際の返済額の急増を抑える仕組みですが、利息そのものが減るわけではなく、未払利息が発生する可能性もある点は見落とされがちです。

また、ルールの詳細は金融機関によって異なるため、ご自身の契約内容を確認しておくことが欠かせません。

5年ルールの「安心」の中身を正しく理解したうえで、繰り上げ返済や借り換え、家計の見直しといった選択肢も含め、ご自身の家計に合った備え方を考えるきっかけになれば幸いです。

窓口経験者が伝えたい、変動金利の「5年ルール」のポイント

中本 智恵
執筆者中本 智恵編集者/元銀行員株式会社モニクルリサーチ

銀行の窓口では住宅ローンだけでなく、投資信託や保険のご相談もあわせて伺う機会が多くありました。そのなかで感じたのは、金利が動く局面になると、お客様が抱く不安の中身も少しずつ変わっていくということです。

なかでも、住宅ローンをご検討されるお客様からは、金利上昇に対する不安や返済計画に関するご相談をいただくことが多くありました。 

今回の記事でお伝えしたかったのは、まさにこの点です。5年ルールが固定するのは毎月の返済額であって、金利そのものではありません。金利が上がれば返済額に占める利息の割合は増えていきますし、上昇幅次第では未払利息として支払いきれない分が残ることもあります。

記事内の例のように、返済額10万円のケースで125%ルールの上限が12万5000円になるという仕組みも、返済額の急増そのものを抑えてくれる一方で、支払うべき利息の総額を減らしてくれるわけではありません。この「安心できる部分」と「安心とは言い切れない部分」を分けて理解しておくことが、金利上昇局面ではとても大切だと感じています。

加えて、こうしたルールの有無や条件は金融機関ごとに異なりますし、そもそも元利均等返済でなければ対象外になるケースもあります。

ご自身の契約が変動金利・元利均等返済にあたるのか、5年ルール・125%ルールが適用される内容になっているのかは、契約書類や窓口での確認を通じて把握してみてはいかがでしょうか。窓口やコールセンターに問い合わせれば、契約内容に沿った説明をきちんと受けられるでしょう。

金利上昇への備え方は、繰り上げ返済で元金を早めに減らす、借り換えで条件を見直す、貯蓄や資産運用とのバランスのなかで様子を見るなど、ご家庭の状況によって最適な形が異なります。

どれか一つが正解というわけではなく、借入残高や返済期間、家計全体の状況を踏まえて比較検討する視点が欠かせません。制度の細かな条件は今後変わる可能性もあるため、最新の情報は金融機関やファイナンシャルプランナーなど専門窓口であわせてご確認いただけたらと思います。

ご利用にあたっての注意

  • 本記事は2026年7月時点で確認できた情報に基づく一般的な解説であり、特定の金融機関の商品・借り換えを推奨・勧誘するものではありません。
  • 5年ルール・125%ルールの採用有無や具体的な条件は金融機関により異なるため、最新の情報はご契約中または検討中の金融機関の公式情報でご確認ください。
  • 個別の返済計画や借り換えの判断については、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談のうえ、ご自身の判断と責任で行ってください。

参考情報

中本 智恵編集者/元銀行員株式会社モニクルリサーチ

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