【宅建士監修】定期借家とは?普通借家との違いと契約前に確認したい注意点
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【宅建士監修】定期借家とは?普通借家との違いと契約前に確認したい注意点

更新なしの仕組みと中途解約の要件、再契約の考え方まで|契約前の確認事項を整理

【宅建士監修】定期借家とは?普通借家との違いと契約前に確認したい注意点
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この記事はここがポイント

  • 借地借家法38条に基づく定期借家は更新がなく期間満了で終了し、継続居住には貸主との合意による再契約が必要となる制度。
  • 居住用かつ床面積200㎡未満なら転勤等のやむを得ない事情による中途解約申入れから1か月で終了できる規定。
  • 契約前に更新なしの書面交付と事前説明が必須で、説明を欠く場合は更新がない旨の定めが無効となる注意点。

物件を探していて、「定期借家」と書かれた募集に出会い、手が止まった経験はないでしょうか。

普通の賃貸と何が違うのか、2年たったら本当に出ていかなければならないのか、仕事の都合で途中で引っ越すことになったらどうなるのか。契約前にこうした不安を抱く方は少なくありません。

定期借家(ていきしゃくや)は、正式には「定期建物賃貸借」と呼ばれ、契約で定めた期間が満了すると更新されずに終了する賃貸借です。

そこで今回は、普通借家との違い、契約時に必要な手続き、中途解約の要件、再契約の考え方、メリットとデメリット、契約前の確認点を順に整理します。いずれも2026年10月時点の制度に基づく内容です。

家の広さや築年数、駅までの近さなどの条件面で考えると、定期借家は普通借家より条件が良いケースがほとんどです。しかし、定期借家がお得に見えるのは、「更新できない」という大きなデメリットがあるからです。

実際、契約時には納得していても、満了時期が近づいてから「まだ住めると思っていた」と相談されるケースは少なくありません。

定期借家を検討している場合、契約前には家賃や立地だけでなく契約満了の時期を必ず確認したうえで、将来プランを設計することが大切です。

定期借家とは?「更新がなく、期間満了で終了する」賃貸借

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定期借家は、借地借家法38条1項に基づく制度です。e-Gov法令検索で公開されている条文によると、期間の定めがある建物の賃貸借をする場合に、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができます。

国土交通省も、契約期間の満了により更新されることなく確定的に終了する制度として案内しています。

同条2項により、契約内容を記録した電磁的記録による契約も書面による契約とみなされます。

普通借家と定期借家の違いを比較表で整理

普通借家では、期間が満了しても、貸主から更新を拒絶するには「正当の事由」が必要です。

借地借家法28条は、双方が建物を必要とする事情や従前の経過などを考慮して正当の事由があると認められる場合でなければ、貸主は更新拒絶などができないと定めています。

一方、定期借家は、期間が満了すれば更新されずに終了します。両者の主な違いは次のとおりです。【2026年10月時点】

普通借家と定期借家の比較表

普通借家と定期借家の比較表
出所:e-Gov法令検索「借地借家法」をもとにLIMO&ホーム作成

普通借家と定期借家の違いで重要なのは、「そもそも更新の仕組みがあるか」です。普通借家では貸主から更新拒絶をする場合、正当な事由が必要です。

しかし、定期借家は期間満了で賃貸契約が必ず終了する前提であるため、契約満了時には引っ越さなければいけません。

契約を更新するという選択肢はないと考えたうえで、自分の転勤・子どもの進学・住み替え予定と契約期間が合うかまで確認したいところです。

契約前に必ず確認したい「事前説明」と書面の扱い

借地借家法38条3項によると、定期借家をしようとする貸主は、あらかじめ借主に対し、契約の更新がなく期間の満了により賃貸借が終了することを、その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません。

借主の承諾があれば、同条4項により、書面に代えて電磁的方法で提供することもできます。

さらに同条5項では、貸主がこの説明をしなかったときは、更新がないこととする旨の定めは無効とされています。

国土交通省の「定期建物賃貸借 Q&A」によると、この説明は貸主が行うものとされ、仲介業者が行う重要事項説明だけでは貸主による説明の要件を満たさないとされています。

なお、仲介業者が貸主の代理人として事前説明を行うことはできますが、その場合も重要事項説明とは別に、それぞれの立場で説明を行う必要があるとされています。

また、事前説明書面には、更新がないこと、期間満了により終了すること、終了の年月日などを記載することが考えられるとされています。

契約前には、次の点を確かめておくと安心です。

  1. 契約書とは別に、事前説明の書面を受け取っているか
  2. 書面の更新なしの記載と終了年月日が、契約書と一致しているか

契約期間が終わるとどうなる?通知の時期と再契約の考え方

期間満了で終了するのが原則ですが、終了までには手続きがあります。

借地借家法38条6項によると、期間が1年以上の定期借家では、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、借主へ終了する旨を通知しなければ、終了を借主に対抗することができません。

ただし、この通知期間を過ぎてから貸主が通知した場合は、その通知の日から6か月を経過した後は終了を対抗できるとされています。

国土交通省のQ&Aでも、通知が遅れた場合は通知から6か月間は賃貸借が続くと案内されています。

再契約は「更新」ではなく、合意による新しい契約

定期借家には更新がありません。住み続けたい場合は、貸主と借主が合意して、改めて契約を結ぶ「再契約」という形になります。

国土交通省のQ&Aによると、貸主と借主の合意があれば、再契約して引き続き居住することは可能です。

再契約は貸主の同意が前提です。再契約の可否や、その際の賃料・費用の取り扱いは、契約前に貸主や管理会社へ見込みを確認しておくことが大切です。

再契約について担当者に聞いたとき、「たぶん延長できます」といった口頭説明を受けることもありますが、決して安心はしないでください。

契約時には再契約に前向きだったものの、貸主の売却予定や自己使用の事情で再契約できなかった例は少なくありません。

もちろん、定期借家でも新しい契約を結べば引き続き同じ部屋に住める可能性はあります。しかし、基本的に再契約できる可能性は低いため、契約満了で引っ越しが必要と考えておくのがおすすめです。

再契約できる可能性が高そうな場合、再契約の判断時期、再契約料や賃料変更の有無について、申込前にメールなど記録が残る形で確認しておきましょう。

契約期間の途中で解約できる?【居住用で床面積200㎡未満の場合】

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借地借家法38条7項によると、居住用の定期借家で床面積(建物の一部分を借りる場合はその部分の床面積)が200平方メートル未満の建物に限り、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情で、借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から解約の申入れができます。この場合、賃貸借は申入れの日から1か月を経過することで終了します。

条件は、①居住用であること、②床面積200㎡未満であること、③やむを得ない事情で生活の本拠として使用することが困難となったこと、の3点で、申入れから1か月で契約が終了します【2026年10月時点】。

同条8項により、この規定(および前述の同条6項の終了通知の規定)に反する借主に不利な特約は無効です。

やむを得ない事情に当たるかどうかや、契約書の違約金・解約予告の条項の扱いは、個別の事情で異なります。迷うときは、契約書を持参して宅地建物取引士、弁護士、自治体の住宅相談窓口などに確認してください。

定期借家のメリットとデメリットを整理する

一方的な見方ではなく、制度の仕組みから読み取れる範囲で、借主の立場から整理します。

貸主側は、事前説明をしなければ更新がない旨の定めが無効になり(同法38条5項)、終了通知が遅れれば通知から6か月を経過するまで終了を借主に対抗できない(同条6項)といった影響があります。

  • 仕組み上、期間が明確で、終了時期をあらかじめ把握できる
  • 居住用で200㎡未満であれば、やむを得ない事情がある場合の中途解約の規定がある(借地借家法38条7項)
  • 更新がないため、期間満了後も住み続けるには貸主の合意による再契約が必要で、成立しなければ退去が前提となる
  • 賃料の改定に関する特約がある場合、増減額請求の規定は適用されない(同法38条9項)ため、契約書の賃料条項を確認しておく必要がある

賃料や入居条件が普通借家より有利かどうかは、公的資料で一律に示されているものではないため、募集条件を比べて判断してください。

定期借家は、期間が決まっている分、短期間だけ住みたい方には合うこともあります。実際、私の今の家は定期借家です。飽き性で数年経つとすぐに引越しを検討したくなる性格なので、定期借家の物件はむしろ好都合でした。

しかし、長く住みたい方、子供がいる方などは要注意です。再契約できない場合の住み替えコストを含めると、結果的に割高になることもあるため、慎重な検討が必要です。

契約前に確認したい5つの点

  1. 事前説明書面の交付と説明があったか:更新がないことが明記された書面を、契約前に受け取っているか
  2. 契約期間と終了年月日:自分の生活計画(仕事・家族・住み替え予定)と合っているか
  3. 再契約の見込み:再契約が可能か、可能な場合の賃料や費用の扱いはどうなるか。口頭ではなく書面で確認する
  4. 中途解約の条項:解約の申入れ期間、違約金の有無と額、借地借家法38条7項に当たる場合の扱い
  5. 賃料改定の特約:賃料の改定に関する定めがあるか、どのような内容か

国土交通省は『定期賃貸住宅標準契約書』のひな形を公表しています。使用は法令で義務づけられていませんが、契約書の項目を確認する際の参考になります。

まとめ

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定期借家は、契約期間が満了すると更新されずに終了する賃貸借で、借地借家法38条に定められています。

普通借家と違って更新拒絶に正当の事由は問われず、再契約するには貸主の合意が必要です。

契約前には、事前説明書面、終了年月日、再契約の見込み、中途解約の条項、賃料改定の特約を確認しておくことが判断の助けになります。

ご自身の暮らしの計画に照らして、無理のない範囲で条件を比べてみてください。

川崎 瑞季
監修者川崎 瑞季宅地建物取引士/不動産・金融ライター

定期借家は条件面で魅力的に見えがちですが、即決しないことが大切です。契約期間、終了通知、再契約、中途解約、賃料改定の特約まで確認して、普通借家と比べて自分に合うかを判断してください。

特に数年以上住む前提の方、子どもの学区・通勤ルートを重視する方は、満了時に退去となった場合の生活設計までしっかりと考えておきましょう。

ご利用にあたっての注意

  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品・サービス・業者の購入や契約を推奨・勧誘するものではありません。
  • 記載の制度は2026年10月時点の内容です。法令の改正や運用の変更により変わる場合があります。最新の情報は、e-Gov法令検索や国土交通省の公式情報でご確認ください。
  • 個別の契約内容や、やむを得ない事情に当たるかどうかなどの判断は、事情によって異なります。公式情報の確認および専門家(宅地建物取引士・弁護士・各自治体の住宅相談窓口 等)へのご相談のうえ、ご自身の判断で行ってください。

参考情報

LIMO&ホーム編集部
くらしとお金の経済メディア「LIMO」住まい・暮らし領域『LIMO&ホーム』編集部
川崎 瑞季
宅地建物取引士/不動産・金融ライター

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