【住宅ローン控除の必要書類】初年度と2年目以降で何が違う?元銀行員がわかりやすく解説
sommart sombutwanitkul/shutterstock.com
住まい

【住宅ローン控除の必要書類】初年度と2年目以降で何が違う?元銀行員がわかりやすく解説

『調書方式』でどう変わる?住宅の種類別・追加書類まで一覧でチェック

執筆者和田 直子LIMO&ホーム編集部記者/元銀行員
15:00
【住宅ローン控除の必要書類】初年度と2年目以降で何が違う?元銀行員がわかりやすく解説
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この記事はここがポイント

  • 初年度が確定申告、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の必要書類が異なる
  • 2022年度税制改正の『調書方式』により、年末残高調書提出で年末残高等証明書は不要
  • 新築・中古・認定住宅・増改築等、住宅の種類によって追加の証明書類が必要

家を購入した翌年は、初めての確定申告に戸惑う方が非常に多いです。元銀行員の私自身も、当時は働きながら慣れない手続きに頭を悩ませた経験があります。しかし、住宅ローン控除は「最初の年さえ乗り切れば、2年目以降は勤務先の年末調整で完結する」という全体像を知るだけで、心理的な負担はグッと軽くなります。大変なのは本当に最初だけです!
最近では、手続きを簡略化できる「調書方式」などの新しい仕組みも導入されています。本記事では、初年度と2年目以降の必要書類の違いや注意点を分かりやすく解説しています。まずは必要なものを正しく把握し、おトクな減税制度を確実に利用できるよう、余裕を持って準備を進めていきましょう。

「住宅ローン控除を受けたいけれど、何を準備すればいいのか分からず不安」——今年住宅を購入し、初めて確定申告をするという方の中には、そんな戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。

「源泉徴収票は必要なの?」「2年目以降も同じ手続きが続くの?」といった疑問も、次々と出てくるものです。住宅ローンを組んだ後、「控除の手続きが思ったより複雑で戸惑った」という声は少なくありません。

ただ、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の書類は、「初年度」と「2年目以降」で必要なものが決まっており、全体像さえつかめば、それほど身構えるものではありません。

そこで今回は、初年度と2年目以降で必要になる書類の違い、住宅の種類による追加書類、そして近年導入された『調書方式』による手続きの変化までを、順を追って整理していきましょう。

なお、本記事の内容は【令和7年分・2026年7月時点】の国税庁公表情報を基準にしています。

必要書類は「初年度」と「2年目以降」でどう違う?

まず押さえておきたいのは、住宅を取得した年(初年度)は、給与所得者であっても必ず確定申告が必要だという点です。一方、2年目以降は勤務先の年末調整で手続きが完結でき、確定申告は原則として不要になります。

この「初年度は確定申告、2年目以降は年末調整」という区分が、必要書類の違いを理解するうえでの出発点になる、と言えるでしょう。

初年度(確定申告)に必要な書類

初年度の確定申告では、主に次の書類を準備します。

  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(連帯債務がある場合は付表もあわせて必要)
  • 年末残高等証明書:借入先の金融機関等から交付される、住宅取得資金に係る借入金の年末残高を証明する書類
  • 床面積を示す書類:登記事項証明書等(床面積50平方メートル以上。一定の小規模住宅は40平方メートル以上50平方メートル未満)
  • 取得対価を示す書類:工事請負契約書または売買契約書の写しなど
  • 土地の購入に係る住宅借入金等について控除を受ける場合:①土地の登記事項証明書など敷地の取得年月日を明らかにする書類、②土地の売買契約書の写しなど土地の取得対価の額を明らかにする書類 
  • 国または地方公共団体等から補助金等の交付を受けた場合:補助金決定通知書などの補助金等の額を証する書類 
  • 住宅取得等資金の贈与税の特例を利用した場合:贈与税申告書の写しなど住宅取得等資金の額を証する書類の写し 

ただし、後述する『調書方式』に対応した金融機関から借入れをし、金融機関に適用申請書を提出済みの場合は、年末残高等証明書の提出が不要になるなど、一部の提出書類が変わります。

住宅を新築等した場合の借入限度額、控除期間等の表

住宅を新築等した場合の借入限度額、控除期間等の表
住宅を新築等した場合の借入限度額、控除期間等の表

(注)新築等のその他の住宅のうち、2023年12月31日までに建築確認を受けたものまたは2024年6月30日までに建築されたものは、借入限度額を2000万円として10年間の控除が受けられます。ただし、特例居住用家屋に該当する場合は、2023年12月31日までに建築確認を受けたものが対象となります。 

e-Taxで申告する場合のポイント

e-Taxで申告する場合も、基本的に必要な書類の内容は書面申告と変わりません。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、住宅の区分や借入れの状況を入力する過程で、その方に必要な提出書類が画面上に表示される仕組みになっています。

マイナンバーカードとマイナポータル連携を組み合わせれば、年末残高等証明書などの一部情報を自動的に取り込める場合もあります。

もっとも、床面積を示す書類や補助金決定通知書など、電子データとして連携されない書類は、別途手元での確認・提出(またはイメージデータでの送信)が必要になることがあります。

必要書類は住宅の取得状況によって個々に異なるため、作成コーナーの案内や税務署への確認をあわせて行っておくと安心かと思われます。

2年目以降(年末調整)に必要な書類

2年目以降、年末調整で控除の適用を受ける場合は、次の2点を勤務先に提出します。

  • 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書:初年度の確定申告後、税務署から送付される書類
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書:金融機関から交付される証明書

なお、「源泉徴収票」そのものは、年末調整で控除を受けるために勤務先へあらためて提出する書類ではありません。ただし、初年度の確定申告書を作成する際には、所得金額の確認に源泉徴収票の記載内容を用いるため、手元に用意しておくとよいでしょう。

確定申告書への添付・提示は税制改正により不要となっていますが、申告内容の確認資料として保管しておくことをおすすめします。

『調書方式』で手続きが変わることがある?

2022(令和4)年度税制改正により、住宅ローン控除の手続きは、従来の『証明書方式』に加えて、『調書方式』が導入されています。

  • 『証明書方式』:金融機関から交付される年末残高等証明書を提出する方式
  • 『調書方式』:金融機関が税務署に「年末残高調書」を提出し、その情報を国税当局が把握する方式

『調書方式』に対応した金融機関からの借入れがある場合、納税者はマイナンバー等を記載した「住宅ローン控除の適用申請書」(様式は金融機関ごとに異なります)を金融機関へ提出することで、年末残高等証明書の提出を省略できるようになります。

マイナポータル連携を利用すれば、確定申告や年末調整の手続きがより簡便になる場合もあるでしょう。

ただし、金融機関によってはシステム対応の関係で、当面『証明書方式』を継続する経過措置が設けられているケースもあります。ご自身の借入先が『調書方式』に対応しているかどうかは、金融機関からの案内や国税庁の公表資料で確認しておくとよいのではないでしょうか。

マイナポータル連携で住宅ローン控除が便利に!すべて自動処理されるわけではないことには注意

デジタル化が進み、マイナポータル連携や「調書方式」によって、住宅ローン控除の手続きは以前よりかなり便利になりました。ただし、ここで注意したいのは、「すべてが自動で処理されるわけではない」という点です。金融機関への事前の適用申請や、マイナポータルの連携設定を事前に済ませておかないと、従来通りの書面(年末残高等証明書)が必要になってしまいます。また、売買契約書や登記事項証明書など、電子連携されずに手元での確認や画像送信が必要な書類も一部残っています。「ネットで完結するから直前でいいや」と油断せず、どの書類が自動化され、どれを手元に用意すべきか、早めに確認しておきましょう。

住宅の種類によって、追加書類が必要になることも

新築・中古・認定住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅等)・増改築等、住宅の種類によっては、基本書類に加えて追加の証明書類が必要になる場合があります。

  • 中古住宅の場合:建物の登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降であれば登記事項証明書のみで足りますが、昭和56年12月31日以前に建築された住宅は、耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)・既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書のいずれか(取得日前2年以内に発行・締結されたもの)が必要になります
  • 認定住宅の場合:認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写しなど、認定を受けたことを示す書類
  • 増改築等の場合:建築士や指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関等が発行する「増改築等工事証明書」(工事区分によっては建築確認済証・検査済証の写しで代える場合もあります)

中古住宅を取得した場合の借入限度額、控除期間等の表

中古住宅を取得した場合の借入限度額、控除期間等の表
中古住宅を取得した場合の借入限度額、控除期間等の表

どの書類が必要になるかは、住宅の区分・取得の経緯・借入れの条件によって個々に異なり、一律に断定することはできません。

確定申告書等作成コーナーで申告書を作成すると入力内容に応じて必要書類が表示される仕組みもあるため、そちらを活用するか、所轄の税務署・税理士に事前に確認しておくと安心です。

マイホームの増改築等をした場合の借入限度額、控除期間等の表

マイホームの増改築等をした場合の借入限度額、控除期間等の表
マイホームの増改築等をした場合の借入限度額、控除期間等の表

書類の提出先と保管の目安

初年度に確定申告で提出した書類は、所轄の税務署が窓口です。e-Taxで送信した場合も、原本やイメージデータを一定期間手元に保管しておくと、後日の確認がスムーズです。

2年目以降は、年末調整の書類を勤務先(給与の支払者)に提出します。契約書や証明書等の控えは、控除期間が終了するまで保管しておくとよいでしょう。

まとめ

住宅ローン控除の必要書類は、確定申告が必須となる初年度と、年末調整で完結できる2年目以降とで異なります。あわせて、令和4年度税制改正で導入された『調書方式』に対応しているかどうかによっても、提出書類が変わる場合があります。

住宅の種類によって追加の証明書類が必要になることもあるため、まずはご自身のケースに当てはまる書類を早めに確認しておくこと。それが、余裕を持って手続きを進めるいちばんの近道になるのではないでしょうか。

判断に迷う点があれば、所轄の税務署や税理士に相談することをおすすめします。

「住宅ローンの金利タイプ選びについては、「変動金利の住宅ローンは今後どうなる?」の記事もあわせてご覧ください。」

住宅ローン控除で「書類が足りない!」を防ぐには

和田 直子
執筆者和田 直子LIMO&ホーム編集部記者/元銀行員株式会社モニクルリサーチ

住宅ローン控除は、新築・中古の区分や住宅の省エネ性能などによって追加の必要書類が細かく変わるため、一人ひとり準備するものが異なります。特に近年の税制では、省エネ基準に適合しているかどうかが控除額や適用可否に大きく影響するため、証明書類の手配漏れがないかの確認が非常に重要です。確定申告の時期になってから「あの書類が足りない!」と慌てないよう、物件購入時の契約書類一式は大切に保管し、判断に迷う点は早めに所轄の税務署や税理士などの専門家に相談しましょう。早めのアクションこそが、”確実に減税の恩恵を受けるため”のいちばんの近道です。

ご利用にあたっての注意

  • 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品・サービス・業者の購入や契約を推奨・勧誘するものではありません。
  • 記載の制度・必要書類は【令和7年分・2026年7月時点】の目安であり、税制改正や個々の状況(住宅の種類・借入先の金融機関・贈与の有無等)により内容が異なる場合があります。
  • 個別の適用可否や必要書類の詳細については、最新の公式情報をご確認のうえ、所轄の税務署または税理士へのご相談を通じて、ご自身の判断で手続きを行ってください。

参考情報

和田 直子LIMO&ホーム編集部記者/元銀行員株式会社モニクルリサーチ

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