この記事はここがポイント
- 疲れにくい椅子は座面高さ、奥行き、背もたれ、素材が重要。厚生労働省ガイドラインによる机60-72cm、座面37-43cmを目安。
- 折りたたみ椅子は指はさみ事故が23件発生、12歳以下の子どもの指切断事故も5件。開閉時の安全確認が必須。
- 椅子は用途で重視点が異なり、使用シーンに合わせた選び方が基本。
在宅ワークやおうち時間が増え、「そろそろ椅子を新しくしたい」と考える方が増えているのではないでしょうか。
私自身もコロナ禍以降、在宅ワークや勉強、ゲームなど、机に向かう時間が長くなりました。その中で椅子選び一つで姿勢や集中力が大きく変わることを実感しています。
デスクチェア、ダイニングチェア、座椅子、折りたたみ椅子…椅子と一口に言っても種類は多く、「何を基準に選べばいいのか分からない」という声もよく耳にします。
デスク周りを整える方が増えたのに加えて、近年はインテリアへの関心が高まり、「機能性だけでなくデザインも妥協したくない」という声が目立つようになった印象があります。
今回は、用途別の選び方の基準から、疲れにくい座り心地のポイント、そして意外と見落としがちな安全面の注意点まで、椅子選びで押さえておきたいポイントを整理してご紹介します。
在宅ワークや勉強などで普段から机に向かう時間が長い筆者は、「座る姿勢」の大切さを人一倍実感しています。姿勢が崩れると集中力も途切れやすくなる、という感覚は、椅子選びにもそのまま通じるものがあるなと感じながら、今回の記事を書きました。ご自身の用途にあった椅子を探しの一助になれば幸いです。
用途で変わる「椅子選び」の基本
まず押さえておきたいのが、椅子は用途によって重視すべきポイントが異なるという点です。
- デスクチェア:長時間の作業を支える椅子のため、座面の高さ調整や背もたれの角度調整など、体格やデスクの高さに合わせて微調整できるかがポイントです。
- ダイニングチェア:食事のしやすさに直結するため、テーブルの高さとのバランスや、座面の奥行き(浅すぎず深すぎない設計)が重要です。
- 座椅子:床に座る生活スタイルに合わせて選ぶもので、背もたれのリクライニング機能やクッション性が快適さを左右します。
- 折りたたみ椅子:来客時や省スペース収納に便利な一方、後述する安全面の注意も欠かせません。
用途を明確にしたうえで椅子を選ぶことが、「なんとなく良さそうだから」で選んで後悔しないための第一歩です。
疲れにくい座り心地を左右する4つのポイント
長時間座っても疲れにくい椅子を選ぶうえで、確認しておきたい基準を4つ紹介します。
- 座面の高さ:床から座面までの高さが体格や机の高さと合っているか。
- 座面の奥行き:太ももの裏に圧迫感がなく、背もたれにしっかり寄りかかれる奥行きか。
- 背もたれの角度・調整機能:背中全体を支え、姿勢が崩れにくいか。
- 座面・背もたれの素材:メッシュ・布・合成皮革・木製など、通気性やクッション性、お手入れのしやすさに違いがある。
参考になるのが、厚生労働省が公表している『情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン』です。
パソコン作業などの環境基準を定めたこのガイドラインでは、適切な調整目安として「机の高さは60cm〜72cm程度」、「床から座面までの高さは37cm〜43cm程度」という具体的な数値が示されています。
※あくまで目安であり、体格や作業内容により適した高さは異なります。また、ここでいう座面の高さは、実際に座ってクッション材が2cm〜3cm程度圧縮された状態を指すため、市販されている椅子のカタログ表示(クッション材が圧縮されていない外形の高さ)とは数値が異なる場合があります。2026年時点の情報のため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
購入前にこの数値を目安として頭に入れておくと、店頭やオンラインストアで椅子を選ぶ際の判断材料になります。
また、人間工学的に最も疲れにくいとされる座り姿勢は、「椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分あて、足裏全体が床にぴったり接した姿勢」が基本です。大腿部(太もも)の負担を減らすため、シートの前端とひざ裏の間には「手指がすっと入る程度のゆとり」があるものを選びましょう。
もし、一番低く調節しても足裏が床につかない場合は、無理をして座り続けず、腰や背中の負担を軽減してくれる「足台(フットレスト)」をセットで取り入れるのがおすすめです。
さらに、疲れを溜めないためには「ずっと座りっぱなし」を避け、「時折、立ち上がりながら作業(立位)を交える」ことも効果的です。
部屋の雰囲気に合わせた「おしゃれな椅子」の選び方
ダイニングやリビングの模様替えを考えている方にとっては、座り心地と同じくらいデザイン性も気になるところですよね。椅子一脚でも部屋全体の季節感や雰囲気が大きく変わりますよ。
- 木製フレーム:温かみのある印象を与え、和室や北欧テイストのお部屋によく馴染みます
- 布張り・ファブリック素材:季節ごとにクッションカバーを変えるだけでも表情を変えられます
- 合成皮革やビニールレザー:お手入れがしやすく、小さなお子様がいるご家庭にも扱いやすい素材です
花や緑を飾る際も、椅子の色味や素材感によって空間の印象が変わります。
例えば木製の椅子はドライフラワーや実物(みもの)のような落ち着いた飾りと相性がよく、明るい色の布張り椅子には季節の生花を合わせると空間が華やぐ、というように、椅子選びとちょっとした飾りつけを合わせて考えるのもおすすめです。
デザインだけで選ばず、日々のお手入れのしやすさも含めて検討すると、長く愛用できる一脚に出会いやすくなります。
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
