【宅建士監修】賃貸借契約書の見方は?サインする前に確認したい重要ポイントを解説
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【宅建士監修】賃貸借契約書の見方は?サインする前に確認したい重要ポイントを解説

印紙の要否から特約・連帯保証条項まで、契約前に見ておきたい視点を整理

【宅建士監修】賃貸借契約書の見方は?サインする前に確認したい重要ポイントを解説
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この記事はここがポイント

  • 賃貸借契約の形態(普通借家か定期借家か)や更新の有無の確認が最重要点。
  • 特約事項の原状回復範囲や連帯保証人の極度額明記は必須確認点。
  • 重要事項説明書と賃貸借契約書の賃料、特約内容の一致照合は不可欠。

賃貸物件の契約が決まると、最後に手渡されるのが「賃貸借契約書」です。

枚数が多く、専門用語も並んでいるため、どこを重点的に見ればよいのか分からず、なんとなく署名してしまったという方も少なくないでしょう。

契約書には、賃料や契約期間だけでなく、退去時の原状回復の範囲や、連帯保証人・保証会社に関する条項など、入居後のトラブルに直結する内容が記載されています。

そこで今回は、契約書の基本的な読み方と、サインする前に確認しておきたいポイントを、順を追って整理。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産・金融分野で7年にわたって取材・執筆を続けてきたライターにお話を伺っていきます。

「賃貸借契約書」は賃貸に関する契約をまとめた非常に重要な書類です。借主にとって有利なことも不利なことも、一度サインをすれば契約として成立してしまう可能性があります。

契約書を作った相手や仲介会社を無条件に信頼するのではなく、サインをする前に必ず内容を確認し、慎重に判断することが必要です。

賃貸借契約書と重要事項説明書は役割が違う

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賃貸借契約を結ぶ際には、「重要事項説明書」と「賃貸借契約書」という2種類の書面が登場します。この2つは似ているようで役割が異なります。

宅地建物取引業法35条(重要事項の説明等)に基づき、宅地建物取引士は契約を結ぶ前に、物件の設備や取引条件に関するリスクを「重要事項説明書」として説明する義務を負います。

一方、同法37条(書面の交付)に基づき、実際に契約が成立した後に貸主・借主間の権利義務を定めるのが「賃貸借契約書」です。

つまり、重要事項説明書は「契約してよいかを判断するための情報」、賃貸借契約書は「契約した内容そのもの」という位置づけです。

国土交通省は、紛争防止と貸主・借主双方の合理的な契約締結を目的に『賃貸住宅標準契約書』というひな形を公表しており、多くの契約書はこれに準じた構成になっています。

使用自体は法令で義務づけられたものではありませんが、一般的な契約書の章立てを把握する参考になります。

まず確認したい基本条項

契約書の冒頭にある「頭書」部分には、契約の骨格となる情報がまとまっています。最初に次の項目を確認しましょう。

契約書の確認項目

契約書の確認項目
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特に契約形態は見落とされがちです。「定期借家契約」の場合、原則として契約期間満了で契約が終了し、更新がありません。

普通借家契約と仕組みが異なるため、どちらの契約かを頭書の記載で必ず確認しておきましょう。

特に注意したいのが「普通借家契約」と「定期借家契約」の違いです。

普通借家契約は更新を前提とする契約ですが、定期借家契約は原則として契約期間の満了により終了し、更新はありません。更新料の支払いを避けたい場合や、今後も引っ越しをする場合にはおすすめですが、良い物件でも住み続けられないのがデメリットです。

なお、定期借家契約では、契約書とは別に「更新がなく、期間満了で終了する」ことを貸主が事前に説明する必要があります。家賃が相場より安い物件では、定期借家契約になっているケースもあるため、契約期間だけでなく契約形態まで確認しておきましょう。

見落としやすい「特約」と原状回復の範囲

契約書の後半には「特約事項」という欄が設けられていることが一般的です。

ここには、頭書や基本条項だけでは定めきれない個別の取り決めが記載されており、内容は契約ごとに異なります。

特に次の2点は、退去時のトラブルに直結しやすいため、サインする前に目を通しておきたいところです。

  • 原状回復の範囲:経年劣化や通常の使用による損耗は、原則として借主の負担にならないという考え方が一般的とされています。特約で借主負担の範囲が広げられている場合、その内容が明記されているかを確認しましょう。
  • 中途解約の条件:契約期間の途中で解約する場合の予告期間(「1か月前までに通知」等)や、違約金の有無を確認します。

特約の内容が不明確、または著しく借主に不利だと感じる場合は、署名前に仲介会社に説明を求めるか、宅地建物取引士・消費生活センターなど専門窓口に相談することをおすすめします。

特約は契約ごとの個別ルールですが、書いてあれば何でも有効になるわけではありません。

たとえば「退去時の修繕費をすべて借主負担とする」といった内容の特約があったとしても、一般的な使用でできた傷や経年劣化は貸主負担となるのが基本です。

ただし、「一式」「借主負担」など曖昧な記載のみだと、後から認識違いによるトラブルにつながりやすくなります。曖昧な表記はそのまま放置せず、どこまでの範囲なのか必ず明記してもらうようにすることが大事です。

連帯保証人・保証会社の条項と「極度額」

連帯保証人を立てる契約は賃料など先々発生する金額が確定していない債務を保証する「根保証契約」にあたります。

2020年4月施行の民法改正により、保証人が個人の場合、保証の上限額である「極度額」を契約書に明記しなければ、その保証契約自体が効力を生じないことになりました(民法465条の2)。

契約書や連帯保証人に関する書面に、具体的な金額としての極度額が記載されているかを確認しましょう。

近年は、連帯保証人の代わりに家賃債務保証業者(保証会社)を利用する契約も増えています。

保証会社については、国土交通省による「家賃債務保証業者登録制度」という任意の登録制度が設けられており、登録の有無や保証内容、保証料の金額・支払いタイミングを契約書・重要事項説明書の双方で確認しておくと安心です。

契約書に収入印紙は必要?

契約書を前にすると気になるのが、収入印紙の要否です。国税庁のタックスアンサーによると、建物の賃貸借契約書は、印紙税の課税対象にはなりません。

アパートやマンションなど、建物を借りる一般的な賃貸借契約であれば、契約書への収入印紙の貼付は不要です。

一方で、次のようなケースでは扱いが異なるため注意が必要です。

  • 土地の賃貸借契約書:「土地の賃借権の設定に関する契約書」として課税文書に該当する
  • 建設協力金や保証金について、一定期間据え置いたうえで返還する取り決めがある契約書:「消費貸借に関する契約書」に該当する場合がある

該当するかどうか判断に迷う場合は、契約書の記載内容を踏まえて税務署や税理士に確認するとよいでしょう。

重要事項説明書との照合も忘れずに

契約書にサインする前の最後のステップとして、重要事項説明で聞いた内容と、契約書に記載された内容が一致しているかを照合しましょう。

特に、賃料・敷金等の金額、契約期間、特約事項は、説明時の内容と食い違いがないかを重点的に確認したいポイントです。

口頭での説明と契約書の記載が異なる場合や、説明を受けていない条項が契約書に含まれている場合は、署名前に仲介会社・宅地建物取引士に確認を求めましょう。

重要事項説明書と契約書の内容に違いがある場合は、口頭説明だけで済ませず、契約書や覚書、メールなど記録に残る形で修正・確認してもらいましょう。

特に「ペット可と聞いていた」「駐車場付きと説明された」「退去時費用はかからないと言われた」といった内容は、口頭だけで後から証明するのが難しくなります。

契約前の段階で疑問点を一覧にして、不動産会社や宅建士に書面で回答をもらっておくと、入居後のトラブル防止につながります。生活にかかわる重要な部分は、特に注意して確認しましょう。

まとめ

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賃貸借契約書は、賃料や契約期間といった基本条項に加え、特約事項・連帯保証条項など、入居後の生活や退去時の精算に関わる内容をまとめた書面です。

重要事項説明書との役割の違いを理解したうえで、本記事で挙げたチェックポイントを一つずつ確認してから署名する習慣をつけておくと、入居後のトラブルを避けやすくなります。

不明点がある場合は、契約を急がず、仲介会社や専門家に確認する時間を取ることをおすすめします。

賃貸借契約書の内容について見逃しがあると、トラブルにつながる可能性が非常に高くなります。契約内容について疑問がある場合、物件の人気にもよりますが、契約を待ってもらうことができる場合があります。何かあれば、遠慮なく仲介会社や宅建士に相談してください。

「ここまでいろいろ物件を見て疲れた」「早く決めて帰りたい」と思う方は多いですが、後日でも良いので内容をしっかりと確認してから契約を結びましょう。

ご利用にあたっての注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産会社・保証会社との契約を推奨・勧誘するものではありません。記載の制度・条文・税務上の取り扱いは執筆時点の目安であり、個別の契約内容や地域・時期により異なる場合があります。契約書の具体的な条項の有効性や、印紙税の要否についての最終的な判断は、宅地建物取引士・税理士・弁護士など専門家への相談、または国税庁・国土交通省等の公式情報の確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

参考情報

LIMO&ホーム編集部
くらしとお金の経済メディア「LIMO」住まい・暮らし領域『LIMO&ホーム』編集部
川崎 瑞季
宅地建物取引士/不動産・金融ライター

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