【大手住宅メーカー出身の住宅ローンアドバイザーに聞く】固定金利と変動金利、失敗しない選び方
Inside Creative House/shutterstock.com
住まい

【大手住宅メーカー出身の住宅ローンアドバイザーに聞く】固定金利と変動金利、失敗しない選び方

350棟の引き渡しに立ち会った住宅のプロが語る、金利タイプの考え方

執筆者LIMO&ホーム編集部くらしとお金の経済メディア「LIMO」住まい・暮らし領域『LIMO&ホーム』編集部
監修者高柳一成住宅不動産コンサルタント/大手住宅メーカー出身
19:00
【大手住宅メーカー出身の住宅ローンアドバイザーに聞く】固定金利と変動金利、失敗しない選び方
Inside Creative House/shutterstock.com

この記事はここがポイント

  • 金利水準より金利上昇時の家計耐性、将来計画を考慮した返済計画が重要
  • 変動金利の「5年ルール」「125%ルール」は、未払利息リスクを伴う負担先送りの激変緩和措置
  • 2026年8月フラット35金利は年3.290%から、政策金利は同年約1%に上昇

住宅ローンを検討していると、「固定金利と変動金利、結局どちらがいいのか」という疑問に必ず行き当たります。

金利タイプによって「返済額が変わる仕組み」や「向いている人の条件」が異なるためです。

そこで今回は、大手住宅メーカーで38年、350棟を超える新築住宅の引き渡しを担当してきた住宅のプロに、固定金利と変動金利の基本的な違い、金利が決まる仕組み、そして選ぶときに確認しておきたいポイントについて伺っていきます。

住宅ローンを選ぶ際、「今の金利が低いから変動金利」「返済額が変わらないから固定金利」と、金利水準だけで判断するのはおすすめできません。住宅購入では「いくら借りられるか」よりも「将来にわたって無理なく返し続けられるか」ということが重要だと実感してきました。

特に住宅ローンは、人生の何十年と長期間にわたります。その間には、子どもの教育費、車の買い替え、住宅の修繕、親の介護など、さまざまな支出が発生します。変動金利を選ぶ場合は、現在の返済額だけを見るのではなく、「金利が1%、2%上昇したら家計はどうなるか」といったストレステスト(金利上昇値での返済額シミュレーション)をしておくことが大切です。

一方、固定金利は変動金利より当初の負担が大きくなる場合がありますが、将来の返済額を確定できることは大きな安心材料(これは誰が何といってもプライスレスな価値)です。大切なのは、金利タイプの優劣を比較することではなく、自分たちの家計や将来計画にどちらが合っているかを見極めることだと思います。

なお、本記事の金利水準はいずれも2026年9月時点で確認できた目安(2026年8月資金受取分のデータを含む)であり、今後変動する可能性があります。最新の数値は各金融機関・住宅金融支援機構の公式情報でご確認ください。

固定金利と変動金利、そもそも何が違う?

住宅ローンの金利タイプは、大きく次の3つに分かれるといいます。

住宅ローンの金利タイプとその特徴

住宅ローンの金利タイプとその特徴
LIMO&ホーム作成
住宅ローンの金利タイプとその特徴

このうち「フラット35」は、独立行政法人である住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供する全期間固定金利型の住宅ローンで、借入時に完済までの金利が確定する仕組みです。

金利の水準は時期によって変わるため断定はできませんが、住宅金融支援機構によると、フラット35の借入金利は返済期間や融資率によって異なり、2026年8月資金受取分(融資率9割以下・新機構団信付き)では年3.290%からという水準でした。

9月資金受取分は毎月1日正午ごろに更新されるため、公開前に最新値をあらためてご確認ください。

一方、変動金利は多くの金融機関でこれより低い水準に設定される傾向があり、両者の当初金利には差があると言えるでしょう。

金利動向の大きな流れとしては、現在は緩やかな上昇局面といわれています。日銀の推計では中立金利は1.1〜2.5%程度とされており、現在の政策金利1.0%はこの水準にまだ届いていません。つまり日銀にはまだ利上げの余地が残っており、日本経済は段階的な利上げ継続と変動金利の上昇が続く、と多くの専門家が予測しています。

この点から知っておいてもよいリスク軽減策として、「ミックス(変動と固定をセットで借りる)ローン」があります。金利上昇局面(まさに現在の状況)ではミックスプランを利用することで、金利上昇時のリスクを想定内に収めながら、返済額をコントロールすることができるといわれています。 

変動金利はどうやって決まる?「5年ルール」「125%ルール」とは

変動金利は、多くの金融機関が短期プライムレート(優良企業向けの短期貸出金利)を目安に基準金利を設定しており、その短期プライムレートは日本銀行の政策金利(無担保コールレート)の変更の影響を受けます。

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後複数回の利上げを行いました。

住宅金融支援機構の資料によると、この一連の利上げにより、変動金利型住宅ローンに影響する政策金利は2026年時点で約1%まで上昇しているとされています。

日本銀行の金融政策決定会合は2026年に入っても継続して開催されており、直近では2026年7月31日にも公表文が出されています。

今後の政策金利がどう動くかを断定することはできませんが、変動金利を選ぶ場合は、こうした金利動向を継続的に確認しておく必要があるでしょう。

変動金利には、返済額の急激な変化を抑える仕組みも用意されています。三菱UFJ銀行によると、変動金利・元利均等返済の場合、次の2つのルールが多くの金融機関で採用されています。

  • 「5年ルール」:返済額の見直しは5年ごとに限定され、その間は金利が変わっても毎月の返済額自体は変わらない(内訳の元金・利息の割合は変わる)
  • 「125%ルール」:5年ごとの見直しでも、新しい返済額が直前の125%を超えることはない

一見安心できる仕組みに思えますが、注意点もあります。金利が急上昇すると、利息分だけで返済額を超えてしまい、超過分が「未払利息」として繰り延べられる場合があります。

未払利息は後日支払う必要があるため、結果的に総返済額が増える可能性がある点には留意が必要です。

具体的には、月々の返済額が10万円だった場合、直近の見直しまでは金利が変わっても返済額は10万円のままで、5年後の見直し時も新しい返済額は12万5,000円が上限となります。

よく勘違いされていることが多いのですが、これらの救済ルールは、変動に伴うリスク自体を軽減してくれるものではありません。当面の生活を守るための激変緩和措置であって、金利上昇の急な負担が先延ばしされるだけということです。当然ですが住宅ローンをはじめすべての経済行為は自己責任となります。

変動金利のメリット・デメリット

変動金利の最大のメリットは、借入時の金利が固定金利より低めに設定されやすく、当初の返済額を抑えられる点です。

返済期間中に大きな金利上昇がなければ、総返済額を固定金利より少なく抑えられる可能性もあります。

一方で、デメリットは将来の金利上昇によって返済額が増える可能性がある点です。先述の「5年ルール」「125%ルール」で急激な変化は抑えられるものの、未払利息が生じれば結果的に総返済額が増えることもあります。

教育費など将来の支出が見込まれる世帯では、金利上昇時の負担増をあらかじめ想定しておくことが大切です。

固定金利のメリット・デメリット

固定金利期間選択型や全期間固定金利は、返済額が変わらない、あるいは一定期間変わらないという安心感が最大のメリットです。

教育費など将来の支出が見込まれる世帯にとっては、返済計画を立てやすいという声も少なくありません。

一方で、当初の金利水準は変動金利より高めに設定される傾向があります。固定期間選択型では、期間終了後に金利が上昇していると、再度固定を選ぶ場合の金利や、変動金利に移行した場合の返済額が想定より高くなることもあります。

また、市場金利が低下する局面では、固定金利を選んだことで結果的に割高になる可能性もある点も踏まえておきましょう。

固定・変動、どちらが向いている?

Sichon/shutterstock.com

どちらが向いているかは、世帯の状況によって異なります。判断のポイントとして、次のような視点が挙げられます。

  • 返済期間の長さ:返済期間が長いほど、その間の金利変動リスクを負う期間も長くなります
  • 収入の安定性:収入が変動しやすい場合、返済額が確定する固定金利の方が計画を立てやすいと考える方もいます
  • 金利上昇への耐性:手元資金に余裕があり、返済額が増えても対応できる場合は変動金利を選びやすい傾向があります
  • ライフイベントとの兼ね合い:教育費や大規模なリフォームなど、将来の支出予定と返済計画のバランスを見ておく必要があります

また、金利タイプだけでなく、事務手数料や保証料といった諸費用も金融機関によって異なります。金利水準だけで判断せず、諸費用を含めた総支払額で比較検討することも大切なポイントです。

なお、多くの金融機関では、借入後に固定と変動の間で金利タイプを変更できる場合がありますが、手数料や条件は金融機関ごとに異なります。変更を検討する際は、利用中の金融機関に個別にご確認ください。

まとめ

Faizal Ramli/shutterstock.com
Faizal Ramli/shutterstock.com

固定金利と変動金利には、それぞれ異なる仕組みとメリット・デメリットがあります。どちらが優れているという単純な話ではなく、返済期間や収入の状況、金利上昇への耐性といった、ご自身やご家族の状況に合わせて考えることが大切です。

今回整理したポイントを参考に、窓口や専門家にも相談しながら、無理のない金利タイプを選んでいただければと思います。

高柳一成
監修者高柳一成住宅不動産コンサルタント/大手住宅メーカー出身

住宅ローン選びでは、「どちらの金利が得か」という視点に偏りすぎないことが大切です。金利の動きを正確に予測することは誰にもできません。だからこそ、金利が上昇した場合にも家計が耐えられるのか、また将来支出が増大する時期をどう乗り切るのかまで考えておく必要があります。

また、多くのお客様のケースを見てきて感じたのは、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」を混同すべきではないということです。金利タイプを決める前に、まず将来の家計を見通し、余裕を持った借入額を設定する。そのうえで、金利上昇リスクを取れるなら変動金利、返済額を確定させて安心感を得たいなら固定金利というように、ご自身の生活設計に合った選択をすることが重要です。

住宅ローンは「金利の選択」であると同時に、「これからの暮らし方を選択すること」でもあります。 

ご利用にあたっての注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融機関の商品やローンの契約、借り換えを推奨・勧誘するものではありません。記載の金利・制度は執筆時点(2026年9月時点、2026年8月資金受取分のデータを含む)の目安であり、今後変動する可能性があります。最新の金利や制度については、住宅金融支援機構・各金融機関の公式情報をご確認いただくとともに、個別の判断にあたっては金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーなど専門家へのご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。

参考情報

LIMO&ホーム編集部くらしとお金の経済メディア「LIMO」住まい・暮らし領域『LIMO&ホーム』編集部
高柳一成住宅不動産コンサルタント/大手住宅メーカー出身

関連タグ