親の免許返納、どう切り出す?説得よりも効く「最初のひと言」
metamorworks/shutterstock.com
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親の免許返納、どう切り出す?説得よりも効く「最初のひと言」

頭ごなしの説得は逆効果。実家の親のプライドを傷つけず、前向きに「車の卒業」を考えてもらうコツ

執筆者熊谷 良子LIMO&ホーム編集部記者/ 相続診断士 / ガーデンコーディネーター/証券外務員二種資格
21:46
親の免許返納、どう切り出す?説得よりも効く「最初のひと言」
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この記事はここがポイント

  • 敬老の日は親と「これからの運転」を話す好機。前向きに免許の自主返納を選択するシニアも定着しています。
  • 加齢による事故リスクを責めず、長年の運転を労わり、プレッシャーから解放してあげる視点が大切です。
  • マイナ経歴証明書の特典を活用し、運転への感謝と共に、返納後の安心で楽しい暮らしを提案しましょう。

9月21日からは「秋の全国交通安全運動」が始まります。

敬老の日をはさむこの時期は、これまで長年安全運転で家族や自分たちの暮らしを支えてきてくれた実家の親へ感謝を伝えるとともに、「これからの運転と暮らし」について優しく話し合う絶好の機会です。

親にとって自動車の運転は、単なる移動手段を超えて「自分の足で自由に動ける自立の象徴」であり、長年の暮らしの一部でもあります。

そのため、「そろそろ返納したら?」という一言は、親にとって自身の衰えを突きつけられるようで、寂しさや抵抗感を生んでしまうことも少なくありません。

親世代の思いに優しく寄り添いながら、安心で快適なこれからの暮らしをともに考えるにはどうすればよいでしょうか。

警察庁や警視庁の最新データ、そして返納後の移動を支える最新サービスを紐解きながら考えていきます。

車とともに歩んできた親世代の今

警察庁「運転免許統計 令和7年版」(2026年6月24日公表)によると、2025年末時点の65歳以上の運転免許保有者数は以下の通りです。

  • 男性:1177万7777人(男性全体の26.8%)
  • 女性:852万4562人(女性全体の22.7%)
  • 合計:2030万2339人(全体の24.9%)

2024年末と比較すると全体で1.0%(約19.5万人)増加しており、2019年時点(男性1148万1918人・女性736万9719人)と比べても、この6年で元気に運転を続けるシニア世代が増え、2000万人を超える高い水準が続いています。

年齢層別に見ると、65~69歳は0.5%減、70~74歳は3.8%減と減少が見られる一方で、75~79歳は8.3%増、85歳以上は11.0%増と大幅に増加しており、75歳以上の後期高齢層全体では835万0427人(前年比5.7%増)と免許を大切に保持している方が多くいらっしゃいます。

特に車社会の地域では、買い物や通院、地域での交流など「いつまでも自分の足で元気に暮らしたい」という親世代の力強い自立心が、免許保有を支えていると言えます。

「運転の卒業」を選ぶ前向きな変化

一方で、長年親しまれてきた運転から「卒業」し、自主返納を選ぶ方も年間26万人規模で定着しています。警察庁「運転免許統計 令和7年版」による、直近5年間の65歳以上の自主返納件数(申請による取消件数)は以下の通りです。

  • 2021年:49万3461人
  • 2022年:42万8776人
  • 2023年:36万6846人
  • 2024年:40万8929人
  • 2025年:41万3330人

2019年に過去最多(57万5559人/全年代合計では約60万件)を記録した後、全年齢の自主返納総数(43万5067件)の9割超(95.0%)を65歳以上が占めています(うち75歳以上が26万0915人で60.0%)。

「まだ元気に動けるうちに、周囲に心配をかけないよう自分から返納を決める」という、前向きで賢明な選択をするシニアが増えていることの表れかもしれません。

なお、身分証明書や優遇特典に使える「運転経歴証明書」の交付件数(マイナンバーカードへの運転経歴情報の記録を含む)も、65歳以上では以下のように推移しています。

  • 2021年(令和3年): 42万3856人(全体の95.4%)
  • 2022年(令和4年): 35万4658人(全体の95.5%)
  • 2023年(令和5年): 27万8246人(全体の95.6%)
  • 2024年(令和6年): 30万1551人(全体の95.4%)
  • 2025年(令和7年): 28万2355人(全体の95.0%)

証明書の取得にこだわらず、「すっきりと運転を終えて次の生活スタイルへ移行する」という方もいらっしゃることがうかがえます。

年齢とともに訪れる「体の変化」と向き合う

警察庁「令和7年中の交通事故死者数について」(2026年1月6日公表)によると、2025年の交通事故死者数は2547人と統計開始以来最少となりました。交通安全意識の高まりは全国で実を結んでいます。

しかし、長年無事故無違反で運転してきたベテランドライバーであっても、年齢を重ねるにつれて視野の広さや反射神経、とっさの判断力などに自然な変化が生じるのは避けられません。

内閣府「令和6年交通安全白書 第3節 高齢運転者による交通死亡事故の状況」(2024年6月14日公表)によると、免許人口10万人当たりの死亡事故件数は全年齢平均2.87件に対し、80~84歳で約5.67件、85歳以上で約9.75件となっています。

また、ブレーキとアクセルの踏み間違いやハンドル操作の誤りといった「操作不適」による死亡事故割合は、80歳以上では65歳未満の約15倍〜20倍以上に達します。

これは親の運転能力を責めるものではなく、「長年頑張ってくれた身体を労わり、運転のプレッシャーから解放してあげるとき」を教えてくれるサインと言えます。

「ヒヤヒヤしながらハンドルを握るより、安心して毎日を過ごしてほしい」という子供世代の願いの根底には、親への温かい愛情があります。

マイナ経歴証明書で、身軽でお得なお出かけを

運転を終えた後の生活を彩る特典制度も、より使いやすく進化しています。

2025年3月24日からは、マイナンバーカードと運転免許証を一体化する制度(マイナ免許証保有者は全国で222万人超・保有率2.7%)に伴い、身分証や特典提示に使える「マイナ経歴証明書」の申請が可能になりました。

警視庁「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」(2026年9月1日更新)によると、マイナ経歴証明書の提示により、地域で様々な優遇特典を受けることができます。

その例を見てみましょう。

金利のご褒美

巣鴨信用金庫、東京シティ信用金庫など複数の信用金庫で、10万円以上500万円以下の定期預金について店頭金利+0.05%の優遇

身軽なお出かけ

東京都個人タクシー協会加盟車両で乗車料金10%割引、はとバスの定期観光コースで5%割引

買い物・暮らしのサポート

高島屋で東京都所在65歳以上の本人に限り宅配サービスが無料

暮らしの安全をサポート

  • セコムで位置情報・現場急行サービス(ココセコム)加入料金1000円割引
  • 東急セキュリティ株式会社で置くだけ見まもり『SAFE-1』の初期登録費用半額

マイナ経歴証明書の場合、カード表面に文字が直接印刷されないため、利用時は店舗の専用端末にかざしたりスマホアプリ(マイナポータル等)で確認画面を見せたりする形式が一般的です。

「カード1枚で気軽にお得なお出かけができる」という便利さは、親世代のお出かけを後押ししてくれます。

※なお、掲載している特典内容は一例です。特典内容や利用条件は地域・自治体や各協賛事業者によって異なり、予告なく変更・終了される場合があります。実際の利用時には、お住まいの自治体や警察庁・警視庁、各事業者の公式情報をご確認ください。

「運転お疲れ様」の感謝から始める、これからの家族の対話

運転免許の自主返納は、単なる手続きではなく、人生の大きな節目です。

多くのシニアが免許の自主返納を選ぶ背景には、安全への配慮はもちろんのこと、返納後の生活を楽しめる環境や選択肢が整ってきたことがあります。

もしご実家のご両親の運転に不安を感じたら、まずは「これまで長年、家族を色々な場所に連れて行ってくれてありがとう」「安全に運転し続けてくれてお疲れ様」という感謝の気持ちから言葉をかけてみてください。

頭ごなしに「もう危険だからやめて」と説得するのではなく、「これからは私たちが車を出すよ」「こんなにお得で便利な特典やサポートがあるよ」と、返納後のワクワクする暮らしを一緒に描く姿勢が、親世代の心を優しく解きほぐします。

今度の秋の交通安全運動や敬老の日の機会に、大切なご両親のこれからの安心で豊かな暮らしについて、笑顔で話し合ってみませんか。

親にとって車のキーを手放すことは、これまでの歩みや自由を手放すように感じられ、大きな葛藤があるのが当然です。だからこそ、数字やリスクだけで説得するのではなく、長年の運転への労いと感謝を伝えることが何より大切だと感じます。「運転をやめても、あなたの行動力や自由な暮らしは守られる」という安心感を、家族で一緒につくっていきたいものですね。

参考資料

熊谷 良子LIMO&ホーム編集部記者/ 相続診断士 / ガーデンコーディネーター/証券外務員二種資格

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