この記事はここがポイント
- ふるさと回帰支援センターの移住希望地ランキング、2025年は群馬県が首位
- 移住先選びはランキングより、仕事・生活コスト・医療教育など自身の条件が重要
- 移住支援金など制度も活用し、まずは情報収集やお試し移住から開始が推奨
「移住したい都道府県ランキング」というニュース、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
記者時代、ランキングものの記事は反響が大きく、読者の関心の高さを肌で感じてきました。
移住というテーマも同じで、働き方が多様になった今、「いつか地方で暮らしてみたい」と考える方が増えている印象があります。
そこで今回は、話題になる「移住したい都道府県ランキング」がどのような調査をもとにしているのか、直近の上位県の傾向、そしてランキングだけに頼らない移住先の選び方について整理してお伝えします。
支援金や補助金といった制度の情報ほど、細かな条件を見落とさず確認したくなるものはありません。働き方が多様になり地方暮らしに関心を持つ方が増えている今回は、話題になる「移住したい都道府県ランキング」の仕組みと最新の上位県の傾向、そしてランキングだけに頼らない移住先の選び方や、移住支援金などの制度について整理してお伝えします。
そもそも「移住したい都道府県ランキング」とは
実は「移住したい都道府県ランキング」という名前の、単一の公式な政府統計があるわけではありません。
ニュースなどで報じられるものの多くは、公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構(運営:ふるさと回帰支援センター)が毎年公表している『移住希望地ランキング』を指していることが多いです。
ふるさと回帰・移住交流推進機構によると、このランキングは2009年から続く調査で、2025年の発表は17回目にあたります。
同機構が運営する移住相談窓口への相談件数やセミナーへの参加状況などをもとに集計されており、実際に住民票を移した人の数(転入者数)そのものを表す指標ではない、という点は押さえておきたいポイントです。
2025年の上位県はどこだったのか
同機構の発表によると、2025年の『移住希望地ランキング』は、1位が群馬県、2位が栃木県、3位が長野県という結果でした。
あわせて、2025年の移住相談件数は7万3,003件にのぼり、前年比で18.3%増加、5年連続で過去最多を更新したとのことです。
記者感覚で言うと、この「相談件数が伸び続けている」という事実こそ、ランキングの順位以上に注目したいところです。
関心を持つ人自体が年々増えているというのは、地方暮らしという選択肢が特別なものではなくなりつつある表れとも言えそうです。
なお、ランキングは調査年によって順位が入れ替わることも珍しくありません。
前年に上位だった県が翌年も同じ順位とは限らないため、「今年のランキング」を見るときは、あわせて発表元と集計時期を確認しておくと、情報を正しく読み取りやすくなります。
移住への関心は、行動にもつながっている
内閣官房が令和7年2月に公表した調査でも、東京圏に住む若年層のうち、地方移住に関心があると答えた人の一定数が、実際に「移住先の住宅情報を調べた」という具体的な行動を起こしていることが分かっています。
関心を持つだけで終わらず、情報収集という次の一歩に進む人が着実にいる、というのは興味深いデータです。
ランキングだけに頼らない、移住先の選び方
ランキング上位の県には、それぞれ暮らしやすさの魅力があるのだと思います。とはいえ、ランキングの順位がそのまま「自分に合う移住先」を意味するわけではありません。
移住先を選ぶときに、一般的に検討される視点を挙げてみます。
- 仕事:今の仕事を続けられるか(在宅勤務・リモートワークのしやすさ)、転職するなら現地でどんな求人があるか
- 住まい・生活コスト:家賃や物価の水準、希望に合う住宅が見つかりやすいか
- 医療・教育環境:持病の通院や子どもの通学に必要な病院
- 学校へのアクセス ・気候・自然環境:雪の量や夏の暑さなど、季節ごとの過ごしやすさ
- 地域とのつながり:自治会や近所付き合いの雰囲気、地域行事への参加のしやすさ
これらは優先順位が人によって大きく変わる項目です。
子育て世帯であれば医療・教育環境を重視することが多いでしょうし、仕事を変えずに移住したい方であれば、通信環境やオフィスへのアクセスのしやすさが気になるところでしょう。
ランキングの順位を眺めるだけでなく、「自分にとって何が譲れない条件か」を書き出してみると、候補地を絞り込みやすくなります。
私も地方への移住を経験しましたが、重視したのは住まい・生活コストなどでした。自動車免許は持っていませんでしたが、リモートワークで外出の必要性が高くなく、子供もいないため、特に縛りがなかったのが大きいです。一方で学校や病院、市役所などのアクセスはあまりよくなく、車がないと通うのは難しい環境です。ご自身の生活を見直して譲れないポイントを決めてから探すのがおすすめですよ。
移住を後押しする支援制度もある
移住を検討するうえで気になるのが、経済的なサポートの有無ではないでしょうか。
内閣官房は、東京圏からのUIJターンによる移住を対象に、地域の中小企業等への就業や社会的な起業を条件とした『移住支援金』(単身の場合は最大60万円、世帯の場合は最大100万円)、社会的事業の起業を対象とした『起業支援金』(最大200万円)といった制度を設けています。これらは条件を満たせば併用も可能とされています。
ただし、対象となる移住先や就業先、申請の要件は自治体ごとに異なり、実施していない自治体もあります。
「使えるはず」と思い込んで手続きを進める前に、移住を検討している自治体の窓口で、対象条件や申請時期を必ず確認しておくことをおすすめします。
こうした支援制度は年度によって内容が見直されることもあるため、申請を検討する段階になったら、あらためて最新の公式情報を確認する習慣をつけておくと安心です。
まずは情報収集や相談から
「気になってはいるけれど、何から始めればいいか分からない」という方は、まず情報収集や相談から始めてみるのがおすすめです。
ふるさと回帰支援センターのような窓口のほか、気になる自治体の移住相談窓口に問い合わせてみることもできます。
移住は暮らし全体が変わる大きな決断です。ランキングはあくまで一つの参考情報として、自分や家族にとって何を大切にしたいかを軸に、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。
私自身も移住相談窓口を利用して補助金や移住の先輩の声を伺ったことがあります。小さな心配事も親身に対応してくださり、不安が晴れました。
いきなり移住ではなく、お試しから始める方法も
「気になるけれど、いきなり生活の拠点を移すのは不安」という方には、二拠点生活や、お試し移住・移住体験ツアーといった形で、段階的に地域との関わりを持つ方法もあります。
自治体によっては、短期滞在できる住宅を用意しているところもあるので、まずは短い期間だけ暮らしてみて、その土地の空気を確かめてから決める、という進め方も選択肢の一つです。
まとめ
「移住したい都道府県ランキング」として報じられるものの多くは、ふるさと回帰支援センターが集計する相談件数ベースの指標であり、2025年は群馬県・栃木県・長野県が上位となりました。
ランキングの背景を知ったうえで、仕事や生活コスト、医療・教育環境など自分に合った視点で移住先を検討してみると、より納得のいく選択につながりやすいのではないでしょうか。
ご利用にあたっての注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の自治体・移住支援サービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。記載のランキング・統計は執筆時点(2026年9月)で公表されている最新のものであり、翌年以降の調査で結果が変わる場合があります。移住に関する具体的なご判断は、各自治体の移住相談窓口等でのご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
移住支援金や起業支援金の話を整理しました。「使えるはず」という思い込みで進めてしまうと、実際には対象外だったというケースが起こりやすい分野です。実際私も移住したタイミングが悪く、移住支援金を受給することができませんでした。
記事でも触れたとおり、「移住したい都道府県ランキング」として報じられるものの多くは、単一の公式な政府統計ではなく、公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構が集計する移住相談件数がベースになっており、実際に住民票を移した人の数(転入者数)そのものを表す指標ではありません。2025年は群馬県・栃木県・長野県が上位となり、移住相談件数は7万3,003件、前年比18.3%増で5年連続の過去最多を更新したとのことです。ランキングは調査年によって順位が入れ替わることも珍しくないため、発表元と集計時期をあわせて確認しておく大切さにも触れました。
そのうえで、仕事・住まいの生活コスト・医療や教育環境・気候・地域とのつながりなど、ランキングの順位だけでなく自分にとって譲れない条件を書き出してみることの大切さも整理しています。実際私が考慮した要素も紹介しました。
子育て世帯であれば医療や教育の環境を、仕事を変えずに移住したい方であれば通信環境やオフィスへのアクセスのしやすさを、といったように優先順位は人によって変わってくるものです。
移住支援金(単身の場合は最大60万円、世帯の場合は最大100万円)や起業支援金(最大200万円)といった内閣官房の制度も紹介しましたが、対象となる移住先や就業先、申請の要件は自治体ごとに異なり、実施していない自治体もあります。制度の基礎を学んできた立場からも、「使えるはず」と思い込んで手続きを進める前に、移住を検討している自治体の窓口で、対象条件や申請時期を必ず確認しておくことをおすすめします。支援制度は年度によって内容が見直されることもあるため、申請を検討する段階になったら、あらためて最新の公式情報をご確認いただけると安心です。