この記事はここがポイント
- 移住支援金最大100万円支給も、東京圏在住・在勤要件の事前確認が不可欠。
- 会津若松の魅力は静けさ、人の温かさ、自然の近さ、東京より低い生活コスト。
- 積雪、曇天、店舗の少なさ、車社会による運動不足は会津若松移住の課題。
「地方への移住に憧れはあるけれど、実際のところどうなんだろう」——そんな漠然とした興味を持ったことがある方は少なくないのではないでしょうか。
近年は働き方の多様化もあり、地方移住への関心はより身近なものになっている印象があります。
筆者自身地方出身で取材の仕事で全国のさまざまな土地を訪れてきた身としても、地方の暮らしには都会にはない魅力を感じてきました。
2024年にライフスタイルの変化をきっかけに、東京から福島県会津若松市へ移住しました。移住を決めるまでは「地方でのんびり暮らせたら」というイメージが先行していたものの、実際の暮らしは想像していたものと同じ部分もあれば、違う部分も多くありました。
そこで今回は、実際に会津若松で暮らして感じた「良かったこと」と「大変だったこと」、そして移住支援金の申請で学んだ「事前確認の大切さ」について、実体験ベースでお伝えします。
地方移住を検討されている方の参考になれば幸いです。あくまで筆者個人の感想であり、暮らしやすさの感じ方は住む場所や人によって異なる点はあらかじめご了承ください。
2024年に東京から福島県会津若松市へ移住した経験をもとに、今回は等身大の実感をお伝えします。暮らして分かった良かったこと・大変だったこと、そして支援金で学んだ事前確認の大切さまで、実体験ベースで整理してお伝えします。
会津若松市は盆地特有の気候、雪国での暮らしが始まった
雪の日の鶴ヶ城
会津若松市は会津盆地に位置し、冬季は積雪や曇天の日が多く、夏は暑いのが特徴です。太平洋側で比較的晴天の多い東京とは、気候の特性がまったく異なります。
実際に住んでみると、良い意味でも大変な意味でも、想像とは違う発見の連続でした。
瀬戸内海式気候で晴れの日が多い香川県出身の筆者。香川県以外でも太平洋沿岸の都市にしか住んだことがなく、気候の変化が一番堪えました。雪深い冬を乗り越えた後の春の喜びはひとしおでした。
移住して良かったこと
静けさと、人の温かさに触れる毎日
【近隣スポット】吾妻連峰・一切経山山頂から眺めることができる五色沼。会津若松から足を延ばした近隣スポットで、その美しさから「魔女の瞳」とも呼ばれる。
もっとも実感しているのが、環境の静けさです。10年以上都会の喧騒に慣れていた身としては、夜になると本当に静かで、季節の移ろいを肌で感じられる暮らしに新鮮さを覚えました。自動車や救急車、電車などの騒音は感じられず、むしろ虫や鳥の鳴き声がうるさいくらいです。
また、近所付き合いのなかで人の温かさに触れる機会が増えたのも、移住してよかったと感じる点です。
取材記者として多くの方に話を聞いてきましたが、地域に根づいた方々のあたたかさは、都会での暮らしではなかなか味わえないものだと感じています。
自然が近く、アウトドアの趣味があれば余暇に困らない
紅葉の時期の裏磐梯・五色沼近辺(福島県北塩原村)。会津若松から日帰りで行ける近隣のハイキングスポットです。熊対策はしっかりと。
会津若松市の周辺には豊かな自然が広がっており、アウトドア系の趣味を持つ方であれば、休日の過ごし方に困ることはないでしょう。
筆者自身、室内の趣味を長く続けてきましたが、登山など自然の近さを活かした過ごし方の選択肢が増えたことも、暮らしの満足度を上げてくれています。
四季の変化がはっきりしている土地柄なので、季節ごとの景色の移ろいを楽しめるのも、東京での暮らしにはなかった魅力です。
生活コストの感覚が変わった
家賃や住居費の水準が東京と比べて抑えられる点も、暮らしてみて実感した変化のひとつです。
同じ予算でも、より広い住まいを選びやすくなったという声は、移住経験者からもよく聞きます。
もちろん収入や仕事の形態によって条件は変わってくるため、一概に「安くなる」とは言い切れませんが、住居費にゆとりが生まれたことで、暮らし方の選択肢が広がった実感はあります。
移住して大変だったこと
冬の始まりの大内宿(福島県南会津郡下郷町)。会津若松から車で行ける近隣スポットです。
良いことばかりではなく、率直に「大変だった」と感じる点もいくつかありました。移住を検討している方には、事前にイメージしておいていただきたいポイントです。
- 積雪への対処:冬場は雪かきや冬用タイヤへの交換など、雪国ならではの備えが必要になります。東京での暮らしでは意識したことのなかった手間です。
- 曇天が多い気候:会津盆地特有の気候により、冬は日照時間が短く、曇りの日が続くことも珍しくありません。日光を浴びる機会が減ったと感じる方もいるでしょう。
- 店舗の少なさ:都心部と比べると、日常的に立ち寄れる店舗の選択肢は限られます。一方で、これは「無駄遣いをしにくくなる」という意味で、家計の節約につながっている面もあります。
- 車社会での運動不足:会津若松市は生活の足として車が欠かせない土地柄です。加えてリモートワーク中心の働き方になったこともあり、意識的に体を動かさないと運動不足になりやすいと感じています。
いずれも、事前に「そういうものだ」と知っておけば対処しやすい点ばかりです。
実際、雪かき用の道具をあらかじめそろえておく、日照時間が短い時期は意識的に体を動かす時間をつくるなど、慣れてくると対処の仕方も分かってきます。
移住を検討する際は、良い面だけでなく、こうした暮らしの変化もあわせてイメージしておくことをおすすめします。
私は引越し前に移住相談窓口で相談しました。実際に移住された先輩方の声を聞くこともでき、移住後の暮らしを想像できるようになりました。
移住支援金で学んだ「事前確認」の大切さ
移住を検討する際、気になる方が多いのが『移住支援金』ではないでしょうか。制度の基礎を学んできた立場からも、この制度はぜひ知っておいていただきたいと感じています。
内閣官房によると、移住支援金は東京圏から地方へ移住し、地域の中小企業等への就業や社会的起業などの条件を満たした方を対象に、世帯の場合は最大100万円(18歳未満の世帯員を帯同する場合は1人につき最大100万円を加算)、単身の場合は自治体が定める額(60万円以内が目安)を支給する制度です【2026年9月時点】。
対象者の要件として、内閣官房は「移住直前の10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し東京23区へ通勤していたこと」「直近1年以上は東京23区に在住または通勤していたこと」を挙げています。
支給額や運用の詳細は都道府県・市町村ごとに定められており、福島県移住ポータルサイト「ふくしまぐらし」によると、会津若松市でも東京23区への在住・在勤期間を対象要件とした移住支援金制度が用意されています【2026年9月時点】。
筆者自身、この移住支援金の申請を検討したのですが、結果として対象外となってしまいました。
理由は、要件となる「東京圏での在住・在勤期間」を満たしていなかったためです。「制度が使えるだろう」と思い込んでいたところ、実際には要件を半年ほど満たしていなかった、というのが正直なところです。
この経験から強く感じたのは、移住支援金のような制度は、要件を「なんとなく」で判断せず、早い段階で移住先の自治体窓口に具体的な状況を伝えて確認しておくことが何より大切だということです。
在住・在勤期間の数え方や対象となる地域の範囲は制度上細かく定められており、自己判断で「使えるはず」と決めつけると、思わぬところで対象外になってしまう可能性があります。
支援金をあてにして資金計画を立てている場合は特に、早めの確認をおすすめします。
まとめ
磐梯山と猪苗代湖(福島県耶麻郡猪苗代町)。会津若松から車で行ける近隣スポットで、冬には白鳥がやってきます。
会津若松市での暮らしは、静けさや人の温かさ、自然の近さといった魅力がある一方で、積雪や曇天の多さ、店舗の少なさ、車社会での運動不足など、東京での暮らしとは異なる工夫が必要な面もあります。
移住支援金のような制度についても、思い込みで判断せず、事前に自治体窓口へ具体的な状況を確認しておくことが、後悔しない移住につながるはずです。
地方移住を検討されている方は、良い面・大変な面の両方を知ったうえで、ご自身に合った選択をしていただければと思います。
ご利用にあたっての注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産会社・引っ越し業者・自治体施策の利用を推奨・勧誘するものではありません。本文の体験談は筆者個人の感想であり、暮らしやすさの感じ方には個人差があります。記載の移住支援金の制度内容は執筆時点(2026年9月)の情報であり、支給額・対象要件は自治体や年度により異なり、今後変更される場合もあります。移住支援金の対象可否や申請手続きの詳細については、移住を検討している自治体の窓口に必ず確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
取材記者として全国のさまざまな土地を訪れてきた経験からも、地方にはそれぞれ違った暮らしの魅力があると感じてきましたが、実際に自分で2024年に東京から福島県会津若松市へ移住してみると、想像と同じ部分も違う部分も多くありました。近所付き合いのなかで人の温かさに触れる機会が増えたことは、地域に根づいた方々への取材を重ねてきた立場からも、あらためて印象に残っています。
記事では、盆地特有の気候による雪国の暮らし、静けさや人の温かさ、自然の近さ、生活コストの感覚の変化といった良かった点、そして積雪への対処や曇天の多さ、店舗の少なさ、車社会での運動不足といった大変だった点を、実体験としてお伝えしています。瀬戸内海式気候で晴れの日が多い香川県出身の身としては、気候の変化がいちばん堪えた実感もありました。それでも、どんより曇りが続く雪深い冬を乗り越えたあとの春の喜びは、一段と強くなったように感じています。
あわせて、移住を後押しする『移住支援金』についても触れました。内閣官房によると、東京圏から地方への移住などの条件を満たした方に、世帯の場合は最大100万円、単身の場合は自治体が定める額(60万円以内が目安)が支給される制度です(2026年9月時点)。私自身は「移住直前の10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住または東京圏に在住し東京23区へ通勤」という要件を満たしておらず、申請しても対象外となってしまいました。
支給額や対象要件は自治体ごとに異なり、年度によって内容が見直されることもあります。「使えるはず」と思い込んで手続きを進める前に、移住を検討している自治体の窓口へ早めに具体的な状況を確認しておくことをおすすめします。最新の公式情報もあわせてご確認いただけると安心です。