この記事はここがポイント
- 地震けがの原因は家具転倒、L字金具等での固定が対策
- 賃貸はガイドライン参照、壁穴開けず突っ張り式や据え置き型が原則
- 収納棚は場所ごとの特性、サイズ・耐荷重・素材の確認が選定の鍵
収納が足りなくて、気づけば床にものを置いてしまう——そんなお悩みを抱えていませんか。リビング、洗面所、玄関、子供部屋と、収納が足りないと感じる場所は住まいのあちこちにあるものです。
今回は、設置場所ごとの収納棚の選び方の基準と、地震への備え・賃貸住宅での注意点まで、順を追ってご紹介します。
特定の商品をおすすめするのではなく、ご自身の住まいに合った収納棚を選ぶための「考え方」を整理していきます。
床にものが置きっぱなしになると、一気に散らかった印象になります。掃除をしたくてもものを動かすところから始めなければいけないとなると、家事に取り掛かるのが億劫になってしまうことも。適切な量の収納を取り入れ、動きやすい動線を確保しましょう。
収納棚の主なタイプを知っておく
収納棚と一口に言っても、形状によって使い勝手は大きく異なります。まず代表的なタイプを押さえておきましょう。
- オープンラック:棚板がむき出しのタイプ。出し入れがしやすく、見せる収納にも向きます。
- 扉付き収納棚:ほこりが入りにくく、生活感を隠したいリビングなどに向きます。
- 引き出し付き収納棚:小物や書類など、細かいものを整理しやすいのが特徴です。
- 突っ張り式収納棚:天井と床の間で突っ張って固定するタイプ。壁に穴を開けにくい住まいで選ばれています。
- 壁面収納:壁一面を活用する大型タイプ。「デッドスペース」を有効活用できます。
どのタイプを選ぶかは、収納したいものの量や形、設置場所の広さによって変わってきます。
これから家を建てる予定がある方やリノベーションをお考えの方のなかには、埋め込み式の収納棚を検討されている方も多いのではないでしょうか。その場合は、一度取り付けると変更が難しいため、あらかじめ「どこに何を収納するのか」を決めたうえで、収納の種類や設置場所を決めるのがおすすめです。収納は大きなスペースを取るので、賃貸だとしても、動線なども考慮し慎重に選びましょう。
次の章で、場所ごとの選び方の基準を見ていきましょう。
設置場所別に選び方の基準を整理する
収納棚選びで失敗しないためには、まず設置場所ごとの条件を確認することが大切です。
- リビング:来客の目に触れやすいため、扉付きや、部屋の雰囲気になじむデザインが選ばれやすい傾向にあります。「動線」を妨げない奥行きかどうかも確認しましょう。
- 洗面所:湿気がこもりやすい場所のため、防湿性・耐水性のある素材かどうかを確認することが重要です。
- キッチン:食器や調味料など重量のあるものを収納するケースが多く、耐荷重を重視して選ぶ必要があります。
- 玄関:スペースが限られることが多いため、奥行きの浅いスリムタイプが向いています。
- 子供部屋・クローゼット:おもちゃや衣類など、成長にあわせて中身が変わるものを収納するため、可変性の高い引き出し・仕切りタイプが便利です。
いずれの場所でも、「サイズ(幅・奥行き・高さ)」「耐荷重」「素材」の3点は購入前に必ず確認しておきたいポイントです。
空白があると、つい何かを置いて空間を埋めたくなってしまいますが、収納棚は空いている場所のサイズいっぱいに合わせるのではなく、必要な分だけに収めることが大切です。あえて余白を残すことで空間がすっきりと見え、ものもきれいに収まっている印象になりますよ。
賃貸住宅で壁に穴を開けずに設置する方法
賃貸住宅にお住まいの場合、壁への設置に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』では、賃借人の故意・過失や善管注意義務違反、通常の使用を超える使用による損耗・毀損は、賃借人の負担で原状回復するべきとされています。
壁に穴を開けて棚を固定した場合、退去時の原状回復費用の負担につながる可能性があるため、契約内容を事前に確認しておくことが大切です。
穴を開けずに設置したい場合は、次のような選択肢があります。
- 突っ張り式の収納棚(天井や床との間で固定するタイプ)
- 床に置くだけの据え置き型の収納棚
- 粘着タイプの壁面フックなど、原状回復可能な範囲の固定具を使う方法
契約内容によって扱いが異なる場合もあるため、迷ったときは管理会社や貸主に確認しておくと安心です。
地震に備える転倒防止対策
地震動に対する対策器具の効果(転倒防止器具は、震度6強の揺れを再現した実験でその効果を測定)
収納棚は、高さのあるタイプほど地震のときの転倒リスクも考えておきたいところです。
東京消防庁の公表資料によると、近年発生した大きな地震によるけが人のうち、約3割から5割の人が家具類の転倒・落下・移動が原因でケガをしているとされています。
東京消防庁が公表している『家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック』(令和6年1月発行)では、次のような固定方法が紹介されています。
- L字金具で壁の桟と家具を接合する方法
- ポール式・ストッパー式の突っ張り器具を天井との間に設置する方法
- 複数の家具を連結金具でつなぎ、転倒しにくくする方法
なお、壁の構造によっては金具が効果的に固定できない場合もあるため、固定方法を選ぶ際は住まいの壁の構造や家具の重量に応じて検討する必要があります。
重いものは収納棚の下段に置く、寝室には背の高い収納棚を置かないといった配置の工夫も、あわせて意識しておきたいポイントです。
特に背の高い家具を置く場合は、地震による転倒を防ぐための対策をしておくと安心です。固定器具を取り入れると部屋の統一感が失われるのではないかと心配な方も、インテリアに馴染むデザインを選んで取り入れるのがおすすめです。また、耐荷重を考えて収納するものを選ぶのと同様に、地震に備えて「重いものは下に置く」「落下すると壊れやすいものは上に置かない」といったルールを設けることも大切です。
DIYで収納棚を作る場合の基礎知識
「既製品では、ちょうどいいサイズが見つからない」という場合には、DIYで収納棚を自作するという選択肢もあります。基本的な流れは次のとおりです。
- 設置場所を採寸する:幅・奥行き・高さを正確に測ります。
- 材料を選ぶ:ホームセンターで販売されている木材(集成材・パイン材等)やカラーボックス用の板材、金具(棚受け・L字金具等)を用意します。
- 組み立てる:木材のカットはホームセンターの店頭サービスを利用すると、初心者でも扱いやすくなります。
- 固定・仕上げをする:地震対策として、前述の転倒防止対策もあわせて行いましょう。
壁に穴を開けずに固定する具体的なコツや、下地センサーの使い方については、「棚DIYの始め方」で詳しく解説しています。
材料費は棚のサイズや素材、点数によって差が大きく、既製品を購入する場合とDIYで自作する場合とで、どちらが割安になるかも条件次第です。
具体的な価格は変動が大きいため、購入・材料調達の前にホームセンターや家具店の店頭・公式サイトで最新の価格を確認することをおすすめします。
ちょっとした隙間やデッドスペースに収納を取り付けたいけれど、既製品だとなかなかいいサイズが見つからない場合もありますよね。
我が家でも、キッチンの一部にDIYをした収納棚を取り付けています。主に使用頻度の高いお気に入りのマグカップや、コーヒーグッズ、色とりどりのスパイスなどを置いて、見せる収納として使用しています。よく使うものは、1回の動作ですぐ取り出せる場所に置くのがおすすめですよ。
収納棚選びのチェックリスト
最後に、収納棚を選ぶ際に確認しておきたいポイントを整理します。
収納棚選びのチェックリスト
まとめ
収納棚選びのポイントを整理してきました。
設置場所ごとの条件を確認し、賃貸であれば契約内容、地震対策としては固定方法もあわせて検討することで、後悔のない収納棚選びにつながります。
ご自宅の状況に合わせて、無理のない範囲から取り入れてみてはいかがでしょうか。
収納棚、選ぶときに見直したい"もしも"への備え
収納の悩みは、実は多くのご家庭に共通するテーマではないでしょうか。収納が足りなくて、気づけば床にものを置いてしまう、という記事冒頭の一文はまさに自身の体験談です。
オープンラック・扉付き・引き出し付き・突っ張り式・壁面収納と、タイプごとの特徴を整理しましたが、正解は一つではなく、設置場所の広さや収納したいものの量・形に合わせて選ぶという、当たり前のようで見落としがちな視点を、あらためて大切にしたいと感じながらまとめました。
湿気がこもりやすい洗面所や、重量のあるものを置くキッチンなど、生活の実感に近い視点を盛り込めたのではないかと思いますし、賃貸住宅にお住まいの方に向けて、壁に穴を開けずに設置する方法もあわせて整理できたのは、書いていてよかったと感じる部分です。
なかでも、地震のときの転倒リスクについては、東京消防庁の資料をもとにした固定方法をぜひ知っておいていただきたいポイントです。背の高い収納棚は特に、L字金具や突っ張り器具での固定を検討する価値があると思いますし、重いものは下段に置く、寝室には背の高い収納棚を置かないといった配置の工夫も、今日からすぐに実践できる内容だと感じます。
直近で大きな地震もありましたが、どこで暮らしていても地震が起きた時どこが危険か、どういう備えをしておくべきか、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
DIYで自作するという選択肢も含めて、既製品にこだわりすぎず、ご自身の住まいに合った「収まり方」を見つけていただけたら幸いです。材料費や工期は棚のサイズや素材、点数によって差が大きいため、価格だけで飛びつかず、ホームセンターや家具店の店頭・公式サイトで最新の情報を確認しながら、ご自身のペースで進めていただけたらと思います。今回のチェックリストが、収納棚選びの一つの目安になればうれしく思います。
ご利用にあたっての注意
- 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品・サービス・業者の購入や契約を推奨・勧誘するものではありません。
- 記載の内容は執筆時点(2026年時点)の目安であり、住まいの構造や契約条件、地域・時期により異なる場合があります。
- 賃貸住宅の原状回復に関する取り扱いは契約内容によって異なるため、詳細は管理会社・貸主にご確認ください。
- また、家具の固定方法は住まいの壁の構造や家具の重量により適切な方法が異なるため、東京消防庁の公式資料もあわせてご確認のうえ、ご自身の判断で行ってください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
整理収納アドバイザー2級。インテリアを中心に、暮らしを豊かにする情報を発信している。暮らしに関するWebメディアにて、100円ショップの商品を活用した収納アイデア記事などを執筆。
ものの住所を決めたら、必要な分の収納棚を取り入れましょう。収納したいものと置く場所を先に決めておくことで、オープンラックで見せる収納にするのか、扉付きで目隠しするのかなど、収納のタイプをスムーズに選べます。
耐荷重や地震対策にも配慮された、インテリアと実用性の両立が叶うお気に入りの収納が見つかるといいですね。