この記事はここがポイント
- 「リフォーム」と「リノベーション」に統一定義はなく、事業者により使い分けの傾向。
- 大規模な修繕や模様替えでは、建築確認申請が必要な場合があり、2025年4月1日施行の改正で木造住宅も対象。
- 工事範囲の拡大は費用増加に繋がるため、見積り内容の事前確認が必須。
中古マンションや戸建ての物件情報を見ていると、「リフォーム済み」「フルリノベーション」といった表記に出会うことが増えたなと感じませんか。
なんとなく「リノベーションのほうが大がかりそう」というイメージはあっても、実際のところ何が違うのか、自信を持って説明できる方は多くないのではないでしょうか。
そこで今回は、「リフォーム」と「リノベーション」という言葉の使われ方の傾向や、費用感の考え方、大規模な工事で気になる手続きの話まで、順を追って整理してご紹介します。
証券外務員や簿記、行政書士試験の勉強を通じて制度の基礎を学んできた立場としては、「リフォーム」と「リノベーション」に統一された定義がないという点は、意外と見落とされがちだと感じています。物件情報や広告の言葉だけで判断してしまいがちな部分でもあります。今回は、言葉の使われ方の傾向から、費用感の考え方、大規模な工事で気になる建築確認申請の話まで、順を追って整理しました。
「リフォーム」と「リノベーション」に、実は統一された定義はありません
先に大切な前提をお伝えすると、「リフォーム」と「リノベーション」という言葉の間に、法令や公的機関による統一された明確な定義・線引きは存在しません。
それぞれの事業者が独自の考え方で使い分けているのが実情で、会社によって同じ内容の工事を「リフォーム」と呼んだり「リノベーション」と呼んだりすることもあります。
そのうえで、一般的によく使われる傾向としては、次のようなイメージで語られることが多いようです。
- リフォーム:老朽化した部分を、もとの状態に近づけるように修繕・改修する工事というイメージで使われる傾向
- リノベーション:間取りや設備の性能を変えて、価値や機能を向上させる工事というイメージで使われる傾向
あくまで「傾向」であり、絶対的な区分ではないという点を押さえたうえで、この先の内容を読み進めていただければと思います。傾向を簡単に整理すると、次のようなイメージです。
リフォームとリノベーションの違い表
繰り返しになりますが、これは「よく語られる傾向」であり、事業者によって使い方は異なります。
物件情報や見積書を見るときは、言葉のイメージだけで判断せず、実際にどこまでの工事が行われた・行われる予定なのかを具体的に確認することが大切です。
「スケルトンリフォーム」「フルリフォーム」との違いも整理
似た言葉として「スケルトンリフォーム」「フルリフォーム」も見かけます。
これらも統一定義があるわけではありませんが、一般的には次のような意味合いで使われています。
- スケルトンリフォーム:柱や梁などの骨組みだけを残し、内装・設備を全面的に作り直す大規模な工事を指す言葉として使われる
- フルリフォーム:家全体を対象にした大規模なリフォームを指す言葉として使われる
つまり、「リノベーション」も「スケルトンリフォーム」「フルリフォーム」も、工事の規模が大きいというニュアンスを含んで使われることが多い、という点では共通しています。
マンションの「リノベーション物件」という表記も、間取りや設備を作り直した工事が行われた物件、という意味合いで使われているケースが多いようです。
賃貸物件の「リノベーション物件」という表記について
賃貸物件を探していると、「リノベーション物件」という表記を見かけることがあります。
これも統一された基準があるわけではありませんが、一般的には、オーナーや管理会社が内装・設備を一新する工事を行った物件を指す言葉として使われている傾向があります。
入居を検討する側からすると、「リノベーション済み」という表記だけで内容を判断するのではなく、実際にどの設備が新しくなっているのか、工事の時期はいつ頃だったのかを、物件情報や内見の際に具体的に確認しておくと安心です。
オーナーの立場で工事を検討する場合も同様に、どこまでの範囲を工事するかによって、想定する費用感が変わってくる点を意識しておくとよいでしょう。
費用感の考え方——「範囲が広がるほど上がりやすい」目安として
費用については、具体的な金額を一律に示すことは難しいのが正直なところです。工事の範囲・使用する設備のグレード・建物の状態によって大きく変わるためです。
一般的な考え方としては、水回りの一部だけを直すような小規模な工事より、間取り変更や全面的な内装・設備の作り直しを伴う工事のほうが、対象範囲が広がる分だけ費用も上がりやすい、という傾向があります。
見積りを取る際は、総額だけでなく「どこまでの範囲が含まれているか」を確認しておくと、事業者ごとの見積り内容を比較しやすくなります。
大規模な工事では、建築確認申請が関わることがあります
ここからは、少し手続き寄りの話にも触れておきます。
工事の規模が大きくなると、建築基準法上の「建築確認申請」という手続きが関わってくる場合があります。
国土交通省によると、令和4年(2022年)6月17日に公布された建築基準法の改正により、木造戸建て住宅であっても、主要構造部(屋根・壁・床・階段・梁・柱等)の一種以上について過半に及ぶ改修を行う「大規模の修繕・模様替え」にあたる工事では、建築確認の手続きが必要になるとされています。
この改正は2025年4月1日に施行されています。なお、対象となるのは「2階建て以上」または「延べ面積200㎡超」の木造住宅で、平屋かつ延べ面積200㎡以下の住宅は引き続き対象外です。
どこまでの改修が「大規模」に該当するかの具体的な判断は、工事内容や建物の状況によって異なります。
スケルトンリフォームやフルリフォームのように工事範囲が広い場合は特に、事前に建築士や施工業者、自治体の建築担当窓口に確認しておくと安心です。
業者選びで意識しておきたい視点
工事の呼び方にかかわらず、業者選びで確認しておきたいポイントは共通しています。
- 見積りの範囲(何が含まれ、何が含まれていないか)が明確に示されているか
- 過去の施工実績や、同じような規模の工事の経験があるか
- 保証やアフターサービスの内容が説明されているか
特定の会社や工法をおすすめするものではありませんが、複数の見積りを比較しながら、ご自身の希望する工事内容と照らし合わせて判断することが、後悔の少ない選び方につながります。
まとめ
「リフォーム」と「リノベーション」という言葉に、統一された明確な定義はなく、事業者によって使い分けの傾向に幅があります。
一般的には、原状回復に近いものを「リフォーム」、価値・機能の向上を伴うものを「リノベーション」と呼ぶ傾向がありますが、あくまで目安として捉えておくとよいでしょう。
工事の規模が大きくなる場合は、費用感の確認とあわせて、建築確認申請などの手続きが関わる可能性も念頭に置いておくと安心です。
ご自宅の状況や希望する工事内容に合わせて、無理のない範囲で検討を進めてみてください。
ご利用にあたっての注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の工務店・リフォーム会社・工法を推奨・勧誘するものではありません。記載の制度・手続きに関する情報は執筆時点(2026年)のものであり、今後変更される可能性があります。工事の規模や建築確認申請の要否など個別のご事情に関わる判断は、国土交通省の公式情報の確認、および建築士や施工業者、お住まいの自治体の建築担当窓口への相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。
参考情報
元新聞記者。ガーデニング、インテリア、植物、DIYなどの記事を執筆。華道(池坊 師範科助教・華掌)、フラワーアレンジメントにのべ10年間励み、専門的視点から解説する。一種外務員資格、行政書士試験合格。
一般的には「リフォーム」は老朽化した部分をもとに近づける修繕、「リノベーション」は間取りや設備を変えて価値・機能を高める工事、というイメージで語られる傾向がありますが、これもあくまで傾向であり、絶対的な区分ではないという前提を、まず本文でお伝えしています。
今回の記事では、そうした前提を押さえたうえで、「スケルトンリフォーム」「フルリフォーム」といった似た言葉との違いや、賃貸物件の「リノベーション物件」という表記の意味についても整理しました。工事の呼び方にかかわらず、実際にどこまでの範囲が行われたのかを具体的に確認する姿勢が大切だという点は、マンション選びや賃貸物件探しの際にも活きる視点だと思います。
特に気になったのは、工事の規模が大きくなると建築基準法上の建築確認申請という手続きが関わってくる場合がある、という部分です。国土交通省の公式情報によると、木造戸建て住宅であっても主要構造部の過半に及ぶ大規模な改修では、この手続きが必要になるとされています。制度の基礎を学んできた立場からも、費用や工期だけでなく、こうした手続き面まで含めて事前に把握しておくことの大切さを感じました。
見積りを取る際に、総額だけでなく「どこまでの範囲が含まれているか」を確認するという業者選びの視点も、実際に工事を検討する段階では欠かせないポイントになりそうです。過去の施工実績や保証・アフターサービスの内容まで比較したうえで判断するという基本も、本文で改めてお伝えしました。
ただし、どこまでの改修が「大規模」に該当するかは工事内容や建物の状況によって判断が分かれるところです。制度は改正されることもあるため、詳しくは国土交通省などの最新の公式情報や、建築士・施工業者、自治体の建築担当窓口といった専門の相談先で確認すると安心です。